2017-04

2016・11・21(月)ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団

      サントリーホール  7時

 サンフランシスコ交響楽団と、その音楽監督マイケル・ティルソン・トーマスが4年ぶりに来日。
 今回はブライト・シェンの「紅楼夢 序曲」、ショスタコーヴィチの「ピアノ協奏曲第1番」、マーラーの第1交響曲「巨人」というプログラムを持って来た。協奏曲でのピアノはユジャ・ワン、トランペットは楽団首席奏者マーク・イノウエ。

 開放的に鳴り渡る金管、艶と厚みに富んだ豊麗な弦━━まさにアメリカのオーケストラの良さである。
 ただ今日は、特に「巨人」で、これまでの彼らの来日公演には感じられなかったような、ラフな演奏も聞かれた。1968年のヨーゼフ・クリップス、75年の小澤征爾との来日を含むこのオケの来日公演で、こんなにアンサンブルの粗い演奏は聞いたことがない。特に管の一部に雑なソロが聞かれたり、バス―ン奏者が本番中に無遠慮な大きな咳をしたり、演奏者としてはあまり好ましからざるステージだったのは、前々日までの韓国や中国でのツアーで、オケの気が緩んでいたのだろうか?

 とはいえ、この「巨人」では━━そういう瑕疵を越えて、彼らの演奏にあふれるスケールの大きな力感は、怒涛の如く押し寄せて来た。全曲最後の頂点での豪壮さは見事で、青年マーラーがこの曲で力の限り迸らせた情熱は、充分に伝わって来ていたのである。客席は沸き返り、ティルソン・トーマスも最後には1人でステージに呼び出されていた。

 第1部でのブライト・シェンの「紅楼夢 序曲」は同響の委嘱作品で、これが日本初演とのこと。いわゆる「オリエンタル・エキゾチシズム」的な曲想の中にバルトークの「中国の不思議な役人」のパロディが織り込まれたような小品である。シェンの作品の中ではあまりシリアスなものとは言えぬようだが、今回のアジア・ツアーの土産に委嘱されたものなのだろうか。(追記 解説によれば、演奏会用序曲なる由)

 ショスタコーヴィチの協奏曲では、ユジャ・ワンが例の如く闊達な演奏を聴かせ、オーケストラの中に位置したトランペットのマーク・イノウエが「出過ぎずに」ソロを協演。これは、ユジャ・ワンを全面的に「立てた」演奏とでもいうか。
 ユジャ・ワンのトレードマークのような「すばやいお辞儀」は、4年前の11月の来日の際にはティルソン・トーマスが真似をしてみせたが、今回は彼だけでなくオケの楽員が全員いっせいに、彼女に合わせてピョコンと一礼するというシャレを披露、ホール内は爆笑に包まれた。こういうところも、アメリカのオーケストラならではである。

 ソロ・アンコールでは、彼女とマーク・イノウエが「Tea for Two」を軽快に演奏、さらに彼女は1人で「白鳥の湖」の「4羽の白鳥の踊り」を一風変わった編曲版で弾いた。彼女の演奏には、聴き手の気持を沸き立たせるものがある。

コメント

「紅楼夢 序曲」は今年9月にSFOで初演されたオペラしょうか?
https://www.hk.artsfestival.org/en/programmes/sfo-hkaf-dream-of-red-chamber/

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