2017-09

2016・11・20(日)ティーレマン指揮 
ワーグナー:「ラインの黄金」

      サントリーホール  4時

 サントリーホール主催「ザルツブルク・イースター音楽祭in JAPAN」の目玉的存在の演奏会。
 クリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデンの演奏でワーグナーの全曲ものが聴けるとなれば、これはもう、上演形態の如何を問わず、逃せぬ大イベントである。

 今回の歌手は以下の通り━━ミヒャエル・フォレ(ヴォータン)、藤村実穂子(フリッカ)、クルト・シュトライト(ローゲ)、アルベルト・ドーメン(アルベリヒ)、ステファン・ミリング(ファーゾルト)、アイン・アンガー(ファーフナー)、クリスタ・マイヤー(エルダ)、ゲルハルト・ジーゲル(ミーメ)、アレハンドロ・マルコ=ブールメスター(ドンナー)、タンセル・アクゼイベク(フロー)、レギーネ・ハングラー(フライア)、クリスティアーネ・コール(ヴォークリンデ)、サブリナー・ケーゲル(ヴェルグンデ)、ジモーネ・シュレーダー(フロスヒルデ)。
 ラインの乙女たちの中に多少のばらつきはあったとしても、これだけ手堅い顔ぶれが揃ったことは見事な布陣といってよかろう。

 だが、やはり圧倒的な聴きものは、ティーレマンとシュターツカペレ・ドレスデンの、確固たる伝統に裏打ちされた現代の明晰なワーグナー演奏であった。そして、特にその弦楽セクションの、陰翳と色彩とを併せ持った力感豊かな響きは、「ラインの黄金」という作品の中の、とかく等閑にされがちなシンフォニックな要素を鮮やかに浮き彫りにしてくれたのである。

 この見事な音楽上の成果に比べると、今回の舞台構成は、何とも薄手なものに堕していた、と言われても仕方あるまい。演出、衣装・照明はデニー・クリエフとクレジットされていたが、甚だセンスが悪い。
 ステージの奥からP席にかけて巨大な櫓を組み上げ、その上を歌手のスペースとしたのはいいとしても、奥に屏風のようなものを立てて山々のような絵図柄を描き、上手側と下手側には囲いを巡らせたのは、何だか掘建て小屋じみた光景だったし、二―ベルハイムの場でアルベリヒやミーメやヴォータンたちが無理な隅っこから出入りし、変な大蛇のようなものを囲いの中から上げ下げして見せたり、庭園の置物のようなカエルを出したりしたのは、どうみても学芸会じみた手法であった。

 サントリーホールの「ホール・オペラ」といえば、昔は結構巧い造りの舞台装置を出していたものだが、今回は、言っちゃ何だが、最もお粗末なレベルにあったとされても致し方なかろう。あれならいっそ、ストレートな演奏会形式でやってもらい、字幕ももっと見やすい位置で、観客の全員が愉しめるようにセットしてもらった方が、制作コストとしてもよほど得策だったのでは? 
 とにかく今日は、「音楽」が全てであった。

 書き忘れたが、終場面でフローが虹の橋を架ける時に、かなり立派な剣を携えていた。のちにヴォータンが息子ジークムントに与える、ヴェルズングの英雄の象徴ともなる霊剣ノートゥングの、あるいはこれがその前身なのか? あまり演出らしい演出でもなかったので、問題にするほどのことでもなかろうが、ワグネリアンとしては、こんなことも気になるのである。

コメント

舞台装置

数年前のオーケストラコンサートのアンコールで演奏されたトリスタンの前奏曲を聴き感激、今回のラインの黄金も素晴らしいコンサートでした。残念だったのは、サントリーホールの音に関するマネジメント。舞台に近い席であった為か、照明による電気音が最初から最後までかなり大きな音で鑑賞を妨げた。演奏会終了後にホールの責任者には、申し上げたが、20日には改善したのかしら?ここ一ヶ月で3回原因は別であるが、音のトラブルがあったが、マネジメントが甘くなっているのであれば、反省を求めたい。

20日の電気音

先の方が書かれている電気音ですが、20日の公演でも盛大に鳴っていました。
私が座っていたのはRAブロックでしたが、最初から最後までずっと聞こえている状態でした。
(あれくらい鳴っているとティーレマンや団員にも聞こえているのでは?)
ラインの黄金の あの神秘的なオープニングなども台無し…非常に残念です。
音楽自体の素晴らしさに苦情を言うのを忘れて帰りましたが、注意喚起しているホール側の方が「演奏の妨げ」をしている現状については、全力で改善していただきたいものです。

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