2017-05

2016・11・19(土)イザベル・カラヤンの一人芝居
「ショスタコーヴィチを見舞う死の乙女」

    サントリーホール ブルーローズ  5時

 サントリーホール主催の「ザルツブルク・イースター音楽祭in JAPAN」の一環として上演されたユニークなプログラム。
 「不安についてのコラージュ」という副題があり、ショスタコーヴィチを襲う「死の乙女」つまり「恐怖」を、1人の女優(イザベル・カラヤン)による台詞と演技、および音楽(ドレスデン弦楽四重奏団)の演奏とを組み合わせ、クラウス・オルトナーの演出で、80分以上にわたる物語として構成したものだ。

 物語とは言っても、使われるテキストは、フレーブニコフ、ハルムス、マヤコフスキーらソ連時代の悲劇の詩人たちによる作品や、ショスタコーヴィチの「ソビエト作曲家同盟における演説」などからコラージュしたもので、具体的なストーリー性はもっていない(これらは、解説によると、女優イザベル・カラヤン自身と、演出家・俳優のクラウス・オルトナーが共同で構築したものとのことだ)。

 だがそれらがイザベルの強烈な、憑かれたような演技と朗読で繰り広げられ、それにドレスデン弦楽四重奏団とヤッシャ・ネムツォフ(ピアノ)が演奏するショスタコーヴィチの「弦楽四重奏曲第8番」や「ピアノ五重奏曲」や「ピアノ三重奏曲第2番」などの断片が織り込まれて行くと、何とも壮烈で鬼気迫るモノ・ドラマとして立ち現れることになる。
 たとえば「黄金時代」のポルカの、暗い陽気さのアイロニーにあふれた音楽が、ドラマの終結を何と怖ろしく彩っていたことか。

 イザベル・カラヤンは、見れば見るほど御父上を彷彿とさせる顔立ちだが、以前(2012年)にサイトウ・キネン・フェスティバルで「火刑台上のジャンヌ・ダルク」(山田和樹指揮)に出演した時とは比較にならぬほどの凄味と、声の明晰さと、女優らしい演技と表情をもって、素晴らしい舞台を見せてくれた。これは多分、彼女の本領発揮の舞台であろう。

 ちなみにこのプロダクションは、ゴーリッシュ(ドイツ)でのショスタコーヴィチ音楽祭「国際ショスタコーヴィチの日inゴーリッシュ」(2010年創設)とザルツブルク音楽祭とで、2014年に上演され、今回が3度目の上演になるようである。非常に良い企画だった。今後も折に触れ、このような試みを続けて行っていただきたいものである。

 6時25分頃終演。そのまま同じホワイエで、今度は大ホールでの7時からの都響定期を聴く準備。客が両方聴けるように、終演時間と開演時間を巧くずらせてくれたのは本当に有難い。

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