2017-05

2016・11・17(金)新国立劇場 プッチーニ:「ラ・ボエーム」

      新国立劇場オペラパレス  7時

 粟国淳演出のプロダクションで、2003年のプレミエ以来、これで5度目の上演になる。  
 自分の日記を見ると、2004年の上演を観たことになっているが、その割に舞台の記憶がはっきりしていない。今回観て、こういうものだったかと記憶を辿りつつ、結構まとまりのいい舞台だなとも思う。

 舞台美術がパスクワーレ・グロッシ、舞台監督が大仁田雅彦。
 幾分かは手直しされているのかもしれないが、カルチェ・ラタンの場面(第2幕)ではカフェなどの建物を移動させて群衆の動きとの対比を強調したり、アンフェール門(第3幕)では雪景色を美しく創ったりと、なかなか凝った舞台が構築されている。
 特にその第3幕では、ゼッフィレッリの演出と同様、恋人たちの別れの歌が最高潮に達した時に、いっとき降りやんでいた雪が再びしんしんと降り始める、といったような趣向が為されているあたり、なかなかいい。
 登場人物たちの演技が脇役に至るまでかなり細かくつくられているということは、12年前の日記にも書いている。

 唯一、今回気になったのは、第2幕の特に後半、人々の湧き立つ雰囲気が流れよく進まず、瞬時だが途切れ気味になる傾向があったこと。音楽の流れにも、僅かだがそういう感があった。
 新国立劇場の舞台では、どんなに盛り上がるはずの場面においても、どこか冷めた、燃え上がらぬ雰囲気が抜け切れぬ━━という、開館以来の伝統?が、ここでも作用しているようである。全く不思議な現象だ。

 今回の配役は、ロドルフォをジャンルカ・テッラノーヴァ、ミミをアウレリア・フローリアン、マルチェッロをファビオ・マリア・カピタヌッチ、ショナールを森口賢二、コッリーネを松位浩、ムゼッタを石橋栄美、ベノアを鹿野由之、アルチンドロを晴雅彦、パルピニョールを寺田宗永。新国立劇場合唱団とTOKYO FM少年合唱団、東京フィルハーモニー交響楽団、指揮がパオロ・アリヴァベーニ、という布陣である。

 歌手陣が実力派ぞろいというべきか、いずれも安定して手堅い出来を示していたのがいい。ただし、熱唱は大いに結構なのだが、みんな揃いも揃って怒鳴り過ぎというか、特に第2幕など、オレがオレがという勢いで大声を出していた感は免れぬようだ。石橋栄美も、客席で聴いていた私の同業者たちが「随分声量のある人ですね」と驚いていたほどで━━彼女は大阪で何度か聴いた時には、そんなに巨大な声の持主ではなかったような印象なのだが・・・・。
 その中で、ただ一人、ごく普通に歌っていたフローリアン(ミミ)だけが少し引っ込み気味に聞こえたのだが、まあこれは病身で薄命の女性という役柄の一つの表現だったのかもしれない。

 今回、私が感心したのは、指揮のアリヴァベーニという人だ。初めて聴いたが、ピットの中のオーケストラを空間的な拡がりのある音で響かせることの巧い人である。前述の第2幕での問題を別とすれば、プッチーニの音楽の独特の雰囲気をよく出してくれていた。こういう良い演奏をしてくれた東京フィルも、久しぶりに聴く。

 今回の字幕は文体も自然で、若者たちの会話らしい陽気さもあり、読みやすい。
 休憩は2回入ったので、終演は9時55分頃になった。

コメント

イメージ:印象

「新国立劇場の舞台では、どんなに盛り上がるはずの場面においても、どこか冷めた、燃え上がらぬ雰囲気が抜け切れぬ━━という、開館以来の伝統?が…」
大人の事情で、この場所では、海外一流オペラハウス公演がないため、海外一流オペラハウスが時として白く燃える超高温舞台をこの地で経験した事がないのが先生の脳裡にあって、この場所に対するイメージとしてそのように銘記されているからではないでしょうか?
放送局の多目的ホールではなく、ここでラ・スカラの舞台が見たいものです。

大人の事情・・・本当に残念なことです。
わたしも、新国立劇場で海外オペラハウスの公演を鑑賞したい。
 諸事情とはいえ、ごくごく自然な希望です。

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