2017-05

2016・11・14(月)ワシリー・シナイスキー指揮新日本フィル

     サントリーホール  7時

 モスクワ・フィルやボリショイ劇場のシェフを歴任したワシリー・シナイスキーという指揮者には、失礼ながらこれまで私はあまり関心を持っていなかったのだが(20年以上前にモスクワで演奏会を二つばかり聴いた印象があまり良くなかったせいもある)、しかし今回新日本フィルを指揮したロシアの二つの交響曲の演奏は、たいへん気に入った。
 プログラムは、ショスタコーヴィチの「第9交響曲」と、チャイコフスキーの「第5交響曲」。

 アンサンブルは少し大らかだが、音の響かせ方は豊麗で大きく、リズムを際立たせるよりもむしろ滔々たる流れの力で音楽全体を押して行くような指揮━━とでも言ったらいいか。
 ショスタコーヴィチの「9番」では、この曲の演奏でしばしば浮き彫りにされる軽妙洒脱なアイロニー感よりも、むしろ重戦車が驀進するとでもいったような、力感に富んだ演奏となっていたのが面白い。

 一方チャイコフスキーの「5番」は、演奏時間がわずか40分(!)という快速テンポでありながら瑞々しさを失わず、しかも豊かなテンポ・ルバートを駆使、デュナミークにも大きな対比をもたせ、要所では金管を豪壮に咆哮させる。
 そういえば昔は、ロシアのベテラン指揮者たちはよくこういう演奏をしていた。とにかく不思議な懐かしさを覚えさせる、純正ロシア調(?)の雰囲気を感じさせたシナイスキーの指揮であった。第2楽章でのホルンのソロにヴィブラートがかけられていたのも、この世代のロシア人指揮者たちの好みだったはずである。

 彼の指揮に、新日本フィルハーモニー交響楽団(コンサートマスターは豊嶋泰嗣)は、鮮やかに、柔軟に応えていた。このオーケストラは以前から、こういう一種のレトロタイプ(?)の指揮者が来ると、結構巧く合わせる習性があるようだ。

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