2017-08

2016・11・10(木)デイヴィッド・ジンマン指揮NHK交響楽団

     サントリーホール  7時

 B定期。モーツァルトの「クラリネット協奏曲」(ソリストはマルティン・フレスト)と、グレツキの「交響曲第3番《悲歌のシンフォニー》」(ソプラノ・ソロはヨアンナ・コショウスカ)が演奏された。コンサートマスターは篠崎史紀。

 「クラリネット協奏曲」は、ジンマンとN響の極度の流麗かつ淡彩な演奏のためか、フレストの方も、いつものダイナミックな流動性を発揮するには至らなかったような気がしないでもない。
 ただその代わり、彼がソロ・アンコールとして、オケのチェロの通奏低音的な助けを借りつつ、吹奏に自らの声を組み合わせて演奏した「ネイチャー・ボーイ」という小品が、いかにもフレストの面目躍如で、たいへん面白かった。
 この曲、エデン・アベスという人の作曲で、ナット・キング・コールの歌がオリジナルだということも、私はあとでネットで調べて初めて知ったような次第だが、これがこの日の演奏の中でいちばん刺激的だったような気がする。

 グレツキの「悲歌のシンフォニー」は、20年以上前に日本でも爆発的な人気のあった曲だ。放送でももてはやされ、ナマでも演奏され、猫も杓子もヘンリク・ミコワイ・グレツキ・・・・という調子だったので、私など、それほどの曲でもなかろうに━━などと天邪鬼ぶりを発揮して、あまり聞かなくなってしまったほどである。

 とにかく、超遅テンポのホーリー・ミニマリズムの癒し系音楽とやらであれほど人気を得ながら、その後トンと聴かれなくなってしまったこの曲だが━━今回は、1993年のこの曲の大ヒットに寄与した当の指揮者ジンマン氏の客演とあって、なんとN響がわざわざ定期で取り上げることになったか。
 久しぶりでじっくりと聴かせていただいたが、やはり、何故あれほどヒットしたのか首をひねらされるような曲ではある。しかし、中で歌われる詞は、蜂起で犠牲になった我が子を悲しむという極度に悲痛な内容だ。歌唱のコショウスカが好演。

コメント

自分の感性を磨き信じる

流行した当時を私は知りませんけれども、グレツキ「悲歌のシンフォニー」は悪い曲とは思いませんが、佳品ともとても思われません。“ながら聞き”するのに便利でしょうか。
ここで思い浮かんだのが、「佐村河内」名義のあの交響曲。私は当初から習作めいたものを感じて全く評価していませんでしたが、高く評価する人からはかなり辛辣な言葉を投げ付けられました。
あの高く評価していた人達は、作品そのものは今も高く評価し、聴いているのでしょうか。大地に水が染み込むように、問題が発生したとたんに彼らの姿は消えてしまいました。
辛辣な言葉のお返しに、今それを問うと逆ギレされたりもします。
“流行”も一興だとは思いますが、自分の感性には素直でありたいし、そしてその感性で得られた〈思い〉は貫きたいものです。そのためには自分の感性を磨く精進を怠らずに──。

以前この曲をジンマンのCDで聴いたときは何とも思わなかったのですが、その後コルド指揮のワルシャワフィルのCDを聴いた時、目が覚めるくらい驚いた記憶があります。そのときとても素晴らしい歌唱を聴かせてくれたのがコショウスカでした。こういうシンプルな曲において、演奏者によって大きく印象が変わるというのはよくあることですが、このコルドとコショウスカのそれはかなりのものでした。聴きたかったのですがN響のB定期は一般にはなかなかとれなくて残念です。

それと佐村河内名義の交響曲も最近聴きなおしたら、以前よりけっこうおもしろく聴けて今でも楽しんでます。いろんな曲のおいしいところをくっつけた曲ですけど、ある大作曲家のバレエ音楽よりはよほど面白いです。

かつて一世を風靡した曲を、違う演奏者で聴いたりブームが去ってから聴いたりした方がおもしろく聴ける時がままあります。無理してみつける必要はないですけど、そういうことに出くわすのも音楽を聴くひとつの楽しみだと思います。私は優れた聴き手でもなければ感受性も豊ではないので、こういうことがかえって可能なのかも。

笑えるような泣けるような…です。

角笛吹きさんのコメントを拝読して

「自分の感性を信じて貫く。そして、その為には精進を怠らず。」私も同感で泣けてきました。有難うございます!

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