2017-11

2016・11・8(火)内田光子&マーラー・チェンバー・オーケストラ

      サントリーホール  7時

 10月28日の札幌から今日まで、合計8回の演奏会からなる、今回の内田光子とマーラー・チェンバー・オーケストラ(MCO)によるツアー。
 協奏曲と室内楽の計3種のプログラムがあり、この日はモーツァルトの「第17番ト長調」と「第25番ハ長調」の協奏曲の間にバルトークの「弦楽のためのディヴェルティメント」を挟んだ曲目編成であった。

 内田光子のモーツァルトの協奏曲といえば、30年前、このサントリーホールの開館の時に、イギリス室内管を弾き振りしたツィクルスが大変な人気を集めたものだ。
 あの頃と比べると、彼女の弾き振りの演奏も円熟の落ち着きと深みを感じさせるようになったと思うが、その代りオーケストラを制御しようという意欲が先に立ち、みずからの沈潜にオケを引き込もうとして、凝り過ぎる傾向なしとしない━━とは、勘ぐり過ぎか。

 「第17番」では、弱音で歌う個所などでオケの音量とテンポを落し過ぎ、緊張度を欠いてしまった。また、ピアノの反響板を取り去ってしまったために(これは仕方のないことだろうが)、音が拡散し、オケの総合奏とのバランスが取りにくくなり、それが演奏の精度に関係してしまったのも確かであろう。
 ただし、「25番」では、曲想のゆえに、ソロにもオケにも、ストレートで毅然とした剛直さが生まれていた。第3楽章最後の「決め」も鮮やかであり、壮大な頂点を築いて全曲の演奏が終った瞬間には、満員の客席からも大きなブラヴォ―が飛んだ。

 2曲の間に━━休憩前だが━━MCOのみで演奏されたバルトークのディヴェルティメントは、自発性に富んだ見事なものだった。イタマール・ゾルマンをリーダーとした弦楽合奏の引き締まった良さは、この楽団の本領発揮である。

 内田光子は、「25番」のあとに、ソロでアンコール曲を弾き、MCOとのツアーであっても主役は私よ━━という印象を聴衆に植えつけた。曲は、モーツァルトの「ソナタK330」の第2楽章。これも、32年前に彼女がロンドンで録音したCDでの演奏より2倍も(とは大げさな表現に過ぎようが)テンポが遅くなり、沈潜度が深化していることを私たちに感じさせた。これは、大変美しい演奏であった。

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