2017-11

2016・10・31(月)マレイ・ペライア ピアノ・リサイタル

      サントリーホール  7時

 ペライアの演奏は、幸いにもこのところ、毎年のように聴ける機会がある。ただし、ソロ・リサイタルは、3年ぶりだ。

 神経質な人とかで、ホールのアコースティックや楽器の状態などによって気持のコンディションが変わり、それが演奏に影響してしまうのだということを聞いた記憶がある。今日はどうだったか知らないけれども、演奏にちょっと首をひねらされる個所もないではなかった。しかし、やはり素晴らしいピアニストだ。

 プログラムは、ハイドンの「アンダンテと変奏曲ヘ短調」、モーツァルトの「ソナタ第8番イ短調K310」、ブラームスの作品118と119の小品集から2曲ずつおよび作品116の「幻想曲集」から「第1番」、休憩後にベートーヴェンの「ハンマークラヴィア・ソナタ」というもの。

 層の厚い響きで演奏されるペライアのハイドンとモーツァルトは、非常に陰翳が濃く、緊張感に満ちている。ソナタの第3楽章など、その推進力の強さも含め、何か魔性的なものをさえ感じさせたほどだ。
 これら短調の作品が2つ続いたあとのブラームスの5曲では、短調と長調の曲が交互に配列されていたので、陰翳の中に愁眉を開く、といった想いにさせられるだろう。巧みな選曲だ。
 だが、この3人の作品が、ペライアの演奏で聴くと、まさに一本の強い絆で結ばれたパトス━━といったように感じられたのが面白い。

 この鋭い緊迫した、しかも見事に流れのよい演奏だった第1部に比べると、第2部の「ハンマークラヴィア・ソナタ」は、━━ペライアの演奏はもちろん非凡なものには違いないが、たとえば速いテンポで一気に進む個所で、時に無理に急ぎ過ぎるような印象を与えられたのは、演奏に安定感をやや欠いたところもあったためだろうか? 

 しかし、やはりこのソナタは、本当に大変な作品だ。ライヴのステージで、われわれを心底から唸らせてくれるこの曲の演奏には、なかなか出逢えない・・・・。
 なお、彼がこの曲のあとでアンコール曲を弾かなかったのは、賢明なことであった。「ハンマークラヴィア・ソナタ」をナマ演奏で聴いたあとには、いかなる曲も必要でない。

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