2017-06

2016・10・29(土)アントニ・ヴィト指揮読売日本交響楽団

      東京芸術劇場 コンサートホール  3時

 当初はミシェル・プラッソンの客演指揮と発表されていたが、手術のためとかで来日が中止となり、替わってポーランドの名指揮者アントニ・ヴィト(ヴィット)が振った。
 彼の指揮に接するのは、5年前に東京でショパン国際コンクール入賞者を集めて行われたコンチェルトばかりの演奏会で聴いて以来のことになる。思いがけず、しかもフランスのレパートリーで聴けたのは幸いだった。彼は昔からフランスものはしばしば指揮していたそうだ。そういえば、今日もほとんど全部の曲を暗譜で振っていた。

 プログラムはドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、サティ~ドビュッシー編の「ジムノペディ」第1番と第3番、ドビュッシーの「海」、フォーレの「ペレアスとメリザンド」組曲、ラヴェルの「古風なメヌエット」と「ボレロ」、アンコールはラヴェルの「マ・メール・ロワ」からの終曲━━と、盛りだくさんなもの。なお「ペレアス」には「メリザンドの歌」が加えられ、鳥木弥生が歌った。コンサートマスターは日下紗矢子。

 ヴィトは、非常に芯の強い、強靭で骨太ともいえるほどの音でオーケストラを響かせる。ドビュッシーとラヴェルの作品の演奏の場合、繊細とか洗練とか秘めやかとかいった言葉で表現される先入観を抱くことが多いが、今回読響を指揮した彼の音楽は、そういった特徴からは些か遠く、やや武骨で剛直な特徴を持っている。
 弦の音色は、最弱音においても引き締まって剛直だし、低弦はずしりと響く。金管群に至っては華麗というより豪快で、強い(これは2階席正面で聴いた音だから、他の場所で聴くと少し違う印象になるのかもしれない)。だがそれでいて、無機的で粗暴な音楽には、決してならないのである。

 「海」での豪快な波浪はなかなか物凄く、一方「ボレロ」の最後の転調の瞬間に音量がさらに一段と大きくなったのには「やってくれたわ」とニヤリとさせられる。「古風なメヌエット」は呆気にとられるほどの豪壮さだったし、「ペレアスとメリザンド」の「シシリエンヌ」中間部での転調の瞬間も、どっしりした響きだ。
 まあ、こういう演奏も面白いだろう。ただ、メゾ・ソプラノのソロは、メリザンドの歌としては、ちょっと物々しかったのではないか。

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