2017-03

2016・9・29(木)声劇和楽団「源氏物語」

      サントリーホール ブルーローズ  2時

 3年ほど前、サントリーホールでは「やってみなはれプロジェクト」というシリーズがあって━━これは故・佐治敬三氏のモットー「やってみなはれ、やらしてみなはれ」という進取の精神に基づくものだったと聞いたが━━無声映画を弁士と三味線などの生演奏を併せて上映するなど、面白いイヴェントが行われたことがある。

 今回の「フロンティアプロジェクト」は、その流れを汲む、久しぶりのシリーズだと聞いた。ただしサントリーホールは主催ではなく共催、それもほぼお任せの形らしい。そのせいか、当日のホールの受け付け、プログラム販売、場内アナウンスまで、すべていつものスタイルと違い、常連をまごつかせることが多い。

 それはともかく、この声劇和楽団の「源氏物語」は、舞台に琴(田中奈央一)と琵琶(久保田晶子)と尺八(黒田鈴尊)が並び、旭井翔一の作曲による音楽を演奏、その前で、簡単だが古式床しい衣装を着けた朗読者たちが「源氏物語」を読んで行く、という形を採る。つまり放送劇をナマで演じるような形のものである。
 ただし読まれる内容は、あの紫式部の文章そのものではなく(あのままやられたら、学生時代の古文の勉強の悪夢が蘇る)、西瓜すいかの脚本による、格調高いが解りやすいセリフ的な文章になっている。

 今回は「桐壺」から「葵」あたりまでの部分が、2部構成で取り上げられる。
 第1部の最後は、光源氏(堀江一眞)が夕顔(満仲由紀子)と愛の逢瀬に浸っているところへ、六條御息所(杏実えいか)の生霊が現れ、「憎らしや、憎らしや」と物凄い表情の演技入りで迫って取り殺し、不気味な音楽がそれを彩るという手法。なかなかドラマティックである。

 この朗読は、読み手たちの表現にもう少し「味」が出てくれば、更に良くなるだろう。しかし、和楽器の玲瓏たる響きとともに進められる日本語の朗読は、不思議な快さを感じさせる。
 できれば最後まで聴いてみたかったが、私の時間の読みが甘く、第1部60分、第2分90分の長さで、終演は5時近くなるとのことで、次に入れた予定との折り合いがつかなくなり、第2部は聴かずに失礼しなくてはならなかった(あの小ホールは、途中で出るには甚だ具合の悪い構造なのである)。

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