2017-05

2016・9・28(水)エリアフ・インバル指揮大阪フィルハーモニー交響楽団

      フェスティバルホール(大阪) 7時

 エリアフ・インバルが大阪フィルに初客演。彼が、東京以外のオーケストラを指揮するのは、何と今回が初という。プログラムは、モーツァルトの「交響曲第25番ト短調」と、マーラーの「交響曲第5番嬰ハ短調」。コンサートマスターは田野倉雅秋。

 インバルは、日本デビューとなった読響との演奏会(1973年)でも、またフランクフルト放送響との日本での初演奏会(1987年)でも、その最初のプログラムにマーラーの「5番」を乗せていた。そして今回の「東京以外のオーケストラへのデビュー」でも、「5番」を選んでいる。まるで、名刺代わりの作品みたいだ。

 今日は定期2日目の演奏━━モーツァルトは、あの冒頭の主題も、ことさらに激烈、劇的なつくりではない演奏で始められたが、どうもインバルの指揮としては、ふだんあまり聴いたことがないほど散漫なものである。モーツァルトの素晴らしさが、さっぱり浮かび上がって来ないのだ。
 これは、敢えて言わせてもらえば、第1楽章でのホルン群の不安定さや、第3楽章トリオでの木管群の溶け合わぬアンサンブルに代表される大阪フィルのまとまりの悪さも、影響しているかもしれない。いずれにせよ、この「25番」は、気心知れた都響との演奏で聴くインバルとは別人のような音楽になっていた。

 マーラーでも、今日が2日目にもかかわらず、第1楽章など、何か集中度に不足する演奏が続いた。大阪フィルとインバルとの相性はよろしくないのかと━━そして大阪フィルもここまでなのか、と落胆させられたが、ところが、第2楽章の半ばあたりから、その演奏がみるみる密度の濃いものになりはじめたのである!

 第3楽章でのホルン・ソロの良さ、セクション全体の充実も、オーケストラ全体に火を点けたか。この楽章が見事な推進性と緊迫感、豊かな音の均衡、スケールの大きさのうちに完成されると、「アダージェット」では大阪フィルの弦が剛直な音色で歌い(これはまさしくインバルの指揮の正確な投影だ)、続くフィナーレでは文字通り全管弦楽が躍動し、渦巻き、咆哮して、熱狂的に全曲を結んで行った。

 2700席のホールをほぼ満席に近く埋めた聴衆が沸きに沸いたのも当然である。大阪フィルが、その秘めていた力を全開したという感だったし、それをここまで引っ張り上げたインバルの指揮もさすがというべきだろう。
 もしこの大阪フィルが、トレーナーとしても非凡な手腕を持つ彼に鍛え上げられたら、きっと都響と同じように、がっちりと隙なく構築された厳しい佇まいの演奏をするようになることだろう。

 大阪フィルも、本気になればかくあり、という演奏の定期公演であった。
 1曲目からこういう演奏をしていてくれていれば、とは思うが、とにかく、終り良ければ全て善し。満足して席を立ったというわけである。

コメント

お疲れさまです。東条さんもお聴きになられたのですね。私は初日の方を聴きました。 ロジェヴェン/読響ショスタコ・プロのページでもチョコッと書きましたが、今回の大フィルの御粗末さにはホントに久しぶりにハラワタが煮えくりかえる思いがしました。 かなりストレスが溜まっているので(人様のブログで大変失礼ながら)以下、本当に感じたことを率直に書かせて頂くことをお許し下さい。 前半のモーツァルトはマッタク東条さんの仰る通り!! 全て同感です!! ホントにホルン群の不安定さは気持ち悪くて吐きそうになりました。 いくらインバルとはいえ、世界的巨匠ともなれば今更極東の、しかも地方のオーケストラを徹底的に鍛える暇などないんだろうなと少々淋しくなったのでした。 そして後半のマーラーは更にヒドイ有様でした。東条さんのお聴きになられた2日目は途中から改善されたようですが、私の聴いた初日は最後までカスでした。ただ汚い音が雑然と鳴ってるだけ。トゥッティではただ「音がデカけりゃいいだろ」的な絶叫音にゲンナリさせられました。かつて都響で聴いたインバルの同じ曲の演奏とは比較にならない。ホントに目の前で指揮をしているのは、あのエリアフ・インバルなのか?と何度も疑いました。マッタク子供騙しの音楽です。 特にトランペットの1番!! 何なんだアイツは!! 冒頭のソロから音を外しまくり。ソロの最後のトコなんかプヒャヒャヒャ~~と全部の音を外しやがって。明らかに練習不足でしょう(この人、カーテンコール中は隣の奏者と何やら笑顔で雑談していました。随分と余裕があるみたいですね)。 それと演奏と同様にショッキングだったのが、終演後の野球場か?と思える程の盛大なブラヴォーでした。さすがにブーーが飛ぶんじゃないかと思っていたので。 付き合いきれなくなりカーテンコールの途中で席を立ちました。 30年以上コンサートを聴いてきて拍手をせずに退場したのはこれで3回目です(前2回はいずれもN響)。 私はもう二度と大フィルのコンサートには行かない。往復の新幹線代に宿泊代。これだけ金かけてあんなナメた演奏を聴かされるくらいなら女の子とでも遊んだ方がマシである。  インバルは来年3月に、今度はベルリン・コンツェルトハウス管と再びこの「5番」を演奏する。 なんとかこのイヤな思いを払拭させてほしいものです。 長々と大変失礼致しました。

杉原様、批評は構わないと思いますが、言葉使いが荒すぎるのは、他人のブログへのコメントとして如何なものでしょうか

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コミミ様、貴重な御指摘に心より感謝致します。 あれでも大分言葉を選び、穏やかに書いたつもりでしたが(実際、当日のアンケート用紙にはもっとクソミソに書いています)、何せ期待が大きかった分落胆も激しかったため、例のトランペット奏者のくだりに関しましては、前置きにもあったようにかなりストレートな表現になってしまいました。

ライブの落とし穴

大フィルにとりマーラー5番は鬼門なのかな。10年以上前、佐渡氏が指揮した同曲の冒頭と繰り返しともTP奏者の音がひっくり返るという惨事がありました。大植氏の2回(大阪。岸和田)は今回の主席奏者で問題もなくいい演奏でしたよ。インバルという世界的な指揮者のもと極度に緊張したのかと推測します。東京から来られて演奏がコレでは怒られるの当然です。
ただ放送などのライブでは世界的なオケでも金管やホルンの外しはよくあることのようです。之に耐えられない向きはCDの完璧な演奏をヘッドホーンで楽しむべきかな。

どすと様、御意見ありがとうございます。とても参考になりました! ただ放送録音と生のライヴでは気合いの入れ方、覚悟が違いますからねぇ。私もお金と時間に余裕のある職業に就いていれば両日共聴き総合的な判断ができたかと思います。 10年くらい経ったら笑い話で済ませられる時が来るかな?

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://concertdiary.blog118.fc2.com/tb.php/2533-a9fb7f83
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

カテゴリー

全記事表示

全ての記事を表示する

RSSフィード

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」