2017-03

2016・9・16(金)上岡敏之指揮新日本フィルハーモニー交響楽団

     すみだトリフォニーホール  7時

 先週のサントリーホール定期でR・シュトラウスの大曲を2曲演奏した上岡と新日本フィル(コンサートマスターは崔文洙)は、こちら本拠地ホールの定期ではがらりと趣向を変えて、モーツァルトの「交響曲第33番」と「ピアノ協奏曲第27番」、ブラームスの原曲をシェーンベルクが管弦楽に編曲した「ピアノ四重奏曲第1番」を演奏した。

 前半での2曲のモーツァルトは、どちらかといえば優雅で繊細な演奏に聞こえたが、これはこの演奏スタイルには、ホールの空間があまりに大きすぎたせいかもしれない。むしろ最弱音もホールの隅々までよく響くサントリーホールで演奏された方が、この緻密で表情に富んだ、しかも軽やかなオーケストラの音色が生きたのではないかと思う。

 協奏曲ではアンヌ・ケフェレックがソロを弾いてくれたが、彼女のピアノについても同様、ささやくような美しさと、音楽を愛でる優しさに富んだ演奏が、それに相応しく充分にホールを満たすことができなかったのは、些か惜しまれる。

 後半のブラームス~シェーンベルクは、打楽器を含めた大編成ゆえに、その重量感あふれる演奏はホールに轟き渡った。この編曲版は世評が高いわりに、私はどうも弦の響きに今一つ不満を感じないではいられないのだが━━。それにしても、ブラームスへの敬意を前面に押し出し、自らの嗜好を抑えに抑えていたシェーンベルクが、終楽章に至ってついに本性を現す様子は、何度聴いても面白い。
 上岡と新日本フィルも、渋い音色ながら、この精緻なつくりの作品を躍動的に演奏してくれた。アンサンブルの緻密さの点では本来もう少し徹底したかったのではないかと想像されるが、それは明日(2日目)の演奏で実現される類のものだろう。

 今日もまたアンコールの演奏があり、ブラームスの「ハンガリー舞曲第1番」が変幻自在な表情で披露されたが、これも前回の「サロメの7つのヴェールの踊り」と同様、メイン・プロで聴かせた芸風についての良き「補足」的存在となった。

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