2017-03

2016・9・15(木)エリアフ・インバル指揮東京都交響楽団定期A

      東京文化会館大ホール  7時

 「インバル80歳記念/都響デビュー25周年記念」と銘打たれた9月の3つの定期。先週の「ザ・グレイト」は壮大な倍管編成で独立独歩の芸風を誇示した、という噂だが、それは聴けなかった。

 今日のプログラムは、グリンカの「ルスランとリュドミラ」序曲、プロコフィエフの「ピアノ協奏曲第2番」(ソリストはアンナ・ヴィニツカヤ)、バルトークの「管弦楽のための協奏曲」。コンサートマスターは矢部達哉。

 1曲目は、強面インバルが「ルスラン」を振ればこうなるだろう、と予想した通りの演奏。ヴィオラとチェロ(再現部ではチェロのみ)による第2主題(カンタービレ)の2回目を最弱音に落とすという珍しい解釈を行なった以外は、予想通りコワモテのストレートな指揮である。厳めしくて立派な「ルスランとリュドミラ」序曲ではあったが、面白さはあまり感じられぬ。

 会場を温めてくれたのは、やはり次に登場したアンナ・ヴィニツカヤだった。美しく明晰な、抜けのよい音色で、名人主義的なプロコフィエフのピアノパートを、攻撃的な演奏にならずに、爽やかに聴かせてくれた。
 第1楽章後半の長大極まるカデンツァ━━ここでの作曲者は、一緒にいるオーケストラのことなど完全に忘れてしまったような様子を見せる━━では、彼女の抒情性のある音色と闊達な躍動感がほどよく調和していたように思う。
 休憩で客席から出る時、だれかが後方で「プロコフィエフにしちゃ線が細いよ」と言っている声が聞こえたが、プロコフィエフならいつも野性的で狂暴で猛烈な演奏であるべきだ、ということもなかろう。

 それまでどっしりとした厳格な演奏を続けて来たインバルと都響は、休憩後のバルトークの「管弦楽のための協奏曲」にいたって、まさに彼らの真髄を発揮してくれた。
 全曲をアタッカで演奏して緊張感を持続させ、明晰極まりない音で楽器群の対比を作曲者の狙い通りに浮き彫りにする。原曲の巧みな管弦楽法をこれだけ見事に再現させた演奏をナマで聴けたのは久しぶりだし、この曲がこんなに厳然とした風格を備えているのだということを再認識させる演奏に接したのも久しぶりである。
 インバルと都響、シリアスな作品を手がけた時の演奏は、完全無欠と称してもいいほどだろう。
      ☞モーストリー・クラシック12月号 公演Reviews

コメント

感激

 今秋、初めてのコンサートで、とてもいい出だしとなりました。
バルトークを、このようなクリアなサウンドで、聴くことができて、喜んでいます。各パートが、互いに生きていて有機的につながり、聴くに難しいのではと思われていた曲が、悲歌であれ切々と深く響いてきました。
 初見の素人ですが、このバルトーク、名曲ですね。インバル氏、さすが。

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