2017-08

2016・8・20(土)セイジ・オザワ 松本フェスティバル(1)
ふれあいコンサート1

      ザ・ハーモニーホール(松本市音楽文化ホール) 4時

 朝の東京は土砂降りで閉口したが、幸いにこちら松本は薄晴。ホテルに荷物を置いてから、JR島内駅近くにあるザ・ハーモニーホールまで、傘も使わず無事に着けたのは有難い。
 緑の木立に囲まれ、いかにも高原の音楽会場という美しい風情を備えたこのホールは、私のお気に入りだ。座席数693、満席時の残響2秒とのことで、ここで聴く室内楽の響きは、まさに絶品である。

 今日は、ミケランジェロ弦楽四重奏団(ヴァイオリンがミハエラ・マルティンとダニエル・アウストリッヒ、ヴィオラが今井信子、チェロがフランス・ヘルメルソン)を中心にした室内楽コンサートだ。
 2曲目に彼らだけで演奏されたバルトークの「弦楽四重奏曲第3番」が流石に見事な均衡と凝縮力を発揮し、瑞々しい音を交錯させて、この日のプログラムのうちでも最高の演奏となっていた。

 これに対し1曲目の、ボッケリーニの「弦楽五重奏曲ハ長調G310」では、もう1本のチェロに趙静(チョウ・チン)が加わっての演奏となったが、彼女の日頃のヴィヴィッドで張りのある、瞬発力のあるソロは周知の通りで、あたかも物静かな家族の中へ元気で明るい若い女性客が割り込み、その闊達な語り口に、一家もにこやかに座談に興じる━━といった雰囲気の五重奏曲となった。
 ただそれだけに、厳密なアンサンブルという点では、少々難点があったことは否めないだろう。

 だが、第2部でのブラームスの「弦楽六重奏曲第1番」では、趙静も完全にミケランジェロ弦楽四重奏団の音色に溶け込み、もう1本のヴィオラとして参加した佐々木亮とともに、緻密なアンサンブルを構築して行った。

 この6人によるブラームスは、しっとりとした音色に富む美しいものだが、前半2楽章など、随分落ち着いたレガートな表情に聞こえて、意外な感に打たれる。よく響くホールの音響が生む距離感のせいでもないだろうと思う。
 こんなに穏健で安息感に浸ったブラームスもありなのかな、と、若干物足りなく感じたものの、後半2楽章では、その落ち着いた音なりに躍動的なエネルギー感も生まれて、室内楽演奏会特有の歓びを客席に与えてくれたのは確かであった。

 なかなか鳴りやまぬ拍手に応えて、ブラームスの第3楽章がもう一度演奏され、コンサートは6時5分頃に終った。
 休憩時間の頃には驟雨もあったようだが、終演時にはもう雨も上がって、しのぎやすい気候になっている。東京とは桁違いの空気である。
       ⇒別稿 モーストリー・クラシック11月号

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