2017-07

2016・7・23(土)アレクサンダー・リープライヒ指揮読売日本交響楽団

      東京芸術劇場 コンサートホール  2時

 ドイツはリーゲンスブルク生れの指揮者。
 前回聴いた時には、その猛速テンポに感嘆し、飛ばし屋リープライヒと称号を奉ったのだが、今日の演奏会では、48歳とは思えぬような老成した身振りでゆっくりと登場、この足取りからは、あの韋駄天のテンポが生まれるとはとても思えない雰囲気。

 果せるかな、最初の曲、メンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」は、予想外に遅いテンポで、しかも重厚な響きで演奏された。まあ、作品の性格からいって、当然だろう。
 リープライヒは、2曲目のショパンの「ピアノ協奏曲第2番」もどっしりした風格で構築、若いソリストの牛田智大を支えた。この牛田の音色が、実に透明で清澄、美しい。生き生きした表情の音楽も魅力である。未だ几帳面に過ぎる演奏のところも少なくないけれども、これからまっすぐに伸びて行ってもらいたいと願う。

 最後のベートーヴェンの「第5交響曲」に至って、やっとリープライヒは、飛ばし屋の本領(?)を発揮。
 第1楽章は一気呵成に押し、第2楽章も快調なテンポで進めて行ったが、その一方、第3楽章トリオで意表を衝いたアクセントを効かせ、リズムの揺れをつくり出したり、第4楽章では第1主題を最初の提示と反復とでニュアンスを変えたり、その他、頻繁に漸強と漸弱を施したりして、さまざまな趣向を凝らした。第4楽章コーダのプレストは、まさに飛ばし屋と呼ばれるにふさわしいテンポだろう。

 聴いていると、実に面白い。先年、紀尾井シンフォニエッタ東京に客演したベートーヴェンの「7番」でも、速いテンポで飛ばしながら細部ではかなり細かい趣向を凝らしていたものだが、今回の読響との「5番」では、オケの反応力の良さもあって、その手腕が明確に示された。
 ただ、細部へはいろいろ手を加えていても、あくまで楽曲全体の型は崩していないのは確かである。これが、彼の良さなのであろう。

 このリープライヒの疾風の指揮に、読響(コンサートマスターは日下紗矢子)は、特に弦がうまくついて行った。管は、失礼ながら多少ドタバタしていたが、しかしそれは「5番」前半だけのこと。明日の演奏では、おそらく曲の最初からまとまるだろう。
 それにしてもこのリープライヒ、なかなかユニークな指揮者である。現在、ポーランド放送響のシェフである由。

コメント

楽しい演奏会でした

いつも楽しみに読んでいます。久しぶりの演奏会でしたが、まったく同感で、楽しい演奏会でした。牛田さん、伸びていって欲しいです。しかし、3階のかなたから見てると、リープライヒの指揮姿、かのカルロス・クライバーを彷彿とさせます。こちらも、ますますの活躍を!東条さんもご自愛ください。

牛田さんのショパン

牛田さんのファンです。2日とも参りました。東条先生がおっしゃるように透明感があって1つ1つの音がきれいでした。指揮者・オーケストラからもこの若い音楽家を育てていこうものが伝わってきました。几帳面すぎる演奏に聴こえたのは、彼が真面目に真摯に楽譜と向き合っているからでしょうか。まだ16歳、これからも大舞台をたくさん経験して彼の持ち味を創っていくでしょう。楽しみですね。

牛田くん、満17才になりますか。ベビーフェイスに華奢な身体。となりの老夫婦が「髭は生えているのかな」などと、いらぬ心配をしていました。地に足をつけつつ、着実に成長してほしいと願っています。
くだんの「ズボン吊り爺さん」、協奏曲の最中、爆睡でしたね。こんなもんか。

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