2017-08

2016・7・22(金)チョン・ミョンフン指揮東京フィル 「蝶々夫人」

      サントリーホール  7時

 定期公演におけるオペラの演奏会形式上演(字幕付)。
 ヴィットリア・イェオ(蝶々夫人)、ヴィンチェンツォ・コスタンツォ(ピンカートン)、甲斐栄次郎(領事シャープレス)、山下牧子(スズキ)、糸賀修平(ゴロー)、志村文彦(ボンゾ)、ヤマドリ(小林由樹)、細岡雅哉(神官)、谷原めぐみ(ケイト)、新国立劇場合唱団が協演。コンサートマスターは荒井英治。

 最近、オペラは演奏会形式上演で聴くのが一番いい━━という心境にだんだんなりつつあることもあって、今夜も大いに愉しめた。もちろん、舞台上演とて「良い」演出なら問題ないのだが、変な舞台に遭遇して気を散らされるより、演奏会形式の方が音楽そのものにじっくりと浸ることができ、音楽そのものの力に感動することができる。
 東京フィルにしても、新国立劇場のピットで演奏する時より、今夜のようにステージで演奏する時の方が、まるで別の団体のように充実した演奏を聴かせてくれるし・・・・。

 チョン・ミョンフン、先年の「トリスタンとイゾルデ」の時と同様、相変わらずテンポが速い。素っ気ないほどの勢いでたたみ込んで行く。そのため、劇的な推進力においては並々ならぬものがある一方、詩趣を失いがちになるという欠点が出る。モティーフの一つ一つにこめられた意味を考えたり、その美しさを愛でたりするという指揮でないことに、私などは少々反発を抑えきれないのだが、まあそれも作品によりけり、ということにしておきましょう。
 だが彼の指揮する管弦楽パートは━━舞台前方に位置した歌手たちの声をしばしばマスクするほどの音量だったとはいえ━━プッチーニの精微で色彩的なオーケストラの語り口をこの上なく雄弁に、かつ劇的に再現し、ドラマをリードする役割を果たしていて、好ましいものであった。

 歌手陣はある程度の演技も交えて歌い、特に蝶々さんは衣装を幕ごとに変えるという凝りよう。このイェオというソウル出身のソプラノは、多分これが初めて聴く機会だと思うが、大柄な体躯と力のある声、表現の細やかさなど、なかなか良いものを持っている。
 ピンカートンのコスタンツォも熱演していたが、これからという人だろう。日本勢の甲斐栄次郎と山下牧子が渋い味で好演していた。
 終演は9時35分頃。

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