2017-08

2016・7・12(火)田部京子ピアノ・リサイタル

     浜離宮朝日ホール  1時30分

 「浜離宮アフタヌーンコンサート」と題するシリーズの第11回。
 平日午後の演奏会の評判がすこぶるよろしいことは近年の傾向だが、今日もお客さんがよく入っている。もちろん、こういう時間帯にコンサートを聴きに来られる世代のお客ばかりだが、それは即ちその世代にクラシックのコンサートを聴きたい人たちが如何に多いか、を示す証であろう。この世代にとっては、夜の9時過ぎまでかかる演奏会を聴きに行くと、帰りが非常に辛くなるのである。

 それはともかく、今日は田部京子のリサイタル。
 「ドイツの思い出を訪ねて」という副題を付し、四半世紀前のドイツ留学時代の写真を映写して当時の思い出を語るコーナーを挿入しつつ、ドイツの作品を演奏した。
 メンデルスゾーンの「夏の名残のばら」による幻想曲と、「無言歌集」から「甘き思い出」など3曲、ベートーヴェンのソナタ「テンペスト」、シューマンの「交響的練習曲」(遺作付)およびアンコールとして「トロイメライ」という、全体で1時間半と少しの長さの演奏会になっていた。

 彼女のリサイタルを聴きに来たのは、久しぶりである。今日の演奏を聴いた範囲で言えば、昔とはずいぶん変わったものだと思う。
 清澄で気品のある音色は昔のままだが、音楽の表情が極度に端整で、シリアスなものになった。澄み切った感覚の裡にも、情緒を一切排し、むしろ楽曲の構築を優先させることに重点を置いた演奏に感じられてしまったのである。

 昨年彼女が出したベートーヴェンの最後の3つのソナタのCD(トリトンOVCT―00120)は素晴らしい出来で、私も雑誌「ステレオサウンド」で推薦盤に取り上げたほどだ。だが、あそこでの堂々たる風格にあふれた表現に比べると、今日の「テンペスト」は、些か趣を異にして、何か、良くも悪くもプロフェッサーの演奏、というように聞こえてしまったのだが━━それはピアノの所為か、こちらの聴いた位置(1階席後方)の所為か?

 だが、彼女の話の方は、相変わらず温かい。投映された写真の中には「壁」解体以前の東ベルリンの光景なども交じっており、興味深いものがあった。彼女は「壁」崩壊の夜、西ベルリンのツォーに居たのだそうである。

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