2017-06

2016・6・18(土)下野竜也指揮九州交響楽団

    FFGホール  3時

 昨夜は新大阪駅の「レム新大阪」というホテルに一泊。部屋は小さいけれども清潔だし、何より新幹線中央口までわずか1分という距離にあるのが楽だ。

 今日は博多に移動。九州交響楽団(音楽監督・小泉和裕)の「天神でクラシック」というシリーズを聴く。
 コンサートは、「下野竜也の名曲プレゼント《運命》編」と題し、ベートーヴェンの「《レオノーレ》序曲第2番」と「交響曲第5番ハ短調《運命》」をプログラムに組み、2曲の間に下野が「運命」を九響のナマ演奏付きで解説するという趣向である。

 このマエストロ下野の話が、めっぽう巧くて面白い。口八丁、指揮八丁、とでもいうか。クラシック音楽をユーモアたっぷり、誰にも解りやすく、しかもオーケストラを指揮しながら解説できるなどという人は、わが国には彼を措いていないかもしれない。

 今回も、第1番から第4番までの「出だし」と「5番」の出だしをジョークを交えつつナマ演奏で比較して見せたり、冒頭の「運命のモティーフ」の流れ「G-Es、F-D」を「未解決の期待感」と表現し、解決させたらどうなるか、として「Es-C」を付け加えてオケに演奏させたり(なるほどこれなら曲はハ短調に解決する)、このモティーフの原型という説が出て来たキアオジという鳥の鳴き声をテープで聞かせて音楽と比較したり、モデルがキアオジでなくニワトリだったらどんな曲になるかを実験したり、作品中に現れる下行志向のモティーフと上行志向のモティーフを比較したり━━と、すこぶる凝ったものだった。

 こういうテは、われわれ放送屋も昔FMでよくやったものだが、目の前でオケの生演奏を入れながら・・・・というのはちょっと出来ぬワザである。とにかく聴衆としても、作品を何の気なしに聞き流すより、こういう解説に接した後に聴く方が、面白さが増すだろう。

 このFFGホール(旧福岡銀行本店大ホール)は、残響ほぼゼロなので、オーケストラには少々厳しいものがあるだろう。
 「《レオノーレ》序曲第2番」のように、ゲネラル・パウゼ(総休止)の多い曲にはなおさらである。しかし終結近く、遠方からのトランペットの信号出現に向かって全管弦楽が追い込んで行く個所での下野と九響の推進性豊かな演奏は迫力充分で、こういう演奏なら、響かないホールの欠点をすら忘れることができる。
 「5番」でも同様のことが言えた。強い推進力を持った演奏は、残響のないホールにおいても、聴き手を巻き込んでしまうという証明である。

 弦12-10-8-8-6の編成を採っていた九響(コンサートマスターは扇谷泰朋)も骨太の演奏を聴かせ、好調ぶりを示した。
 アンコールはベートーヴェンの「悲愴ソナタ」第2楽章の管弦楽編曲版(読響の打楽器奏者・野本洋介編曲の由)。
 692席のホールは、ほぼ満席の盛況であった。

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