2017-11

2016・6・7(火)庄司紗矢香 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル

       紀尾井ホール  7時

 満員の聴衆を集めた庄司紗矢香の今回のリサイタルは、無伴奏の作品を4曲。
 バッハの「幻想曲とフーガ ト短調」(ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ編曲!)、バルトークの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」、細川俊夫の新作(庄司紗矢香の委嘱作)「ヴァイオリン独奏のための《エクスタシス》」、バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番」というプログラムだった。

 この中では、やはりまずバルトークのソナタと、細川俊夫の新作が、凄かった。強靭な集中力、緊迫感、憑かれたような没入性、何ものをも寄せつけぬ気魄━━聴き手の側も一瞬たりとも気を抜けない強烈な対決を強いられる演奏である。

 細川の「エクスタシス」は、鋭く切り込むようなモティーフと、痙攣するようなモティーフとが交錯する、かなり長い作品だったが、ここでの庄司紗矢香の演奏も壮絶を極めた。そのせいか、意外なことに、そのあとに演奏されたバッハのパルティータが、不思議に温厚な音楽に聞こえてしまったほどだ。彼女の演奏そのものが、そういう流れだったのか? あの「シャコンヌ」でさえ、妙にあっさりした演奏に感じられてしまったのだが・・・・。

 それにしても、たった一人で、ホール全体をおそるべき精神力で支配してしまった彼女。本当に凄いアーティストになったものである。
 今回のツアーは北海道から島根・広島まで行ったり来たり、毎度ながら随分きついスケジュールを組むものだと思うが、どうかご自愛を。

※広島公演についてコのメントを頂戴しました。たいへん参考になりました。

コメント

6月4日、庄司紗矢香の無伴奏コンサート(広島公演)

6月4日、庄司紗矢香の無伴奏コンサートの広島公演を聴きました。
東京の紀尾井ホールの公演と同内容。
東京では12,000円の公演ですが、広島公演は、2,500円。

これは細川俊夫さんによる現代音楽レクチャーコンサートHiroshima Happy New Earシリーズの第21回目として開催されたもの。
「舞台上」とも言える至近距離で聴くことができる極めて親密で贅沢な雰囲気の広島自慢のコンサートシリーズです。

この公演を魅力あるものにしているもう一つの理由は観客です。
私は第1回から可能な限り鑑賞していますが、同じようにリピーターが多く、観客が育っていると感じます。
演奏中は真剣に鑑賞、曲の終わりはアーティストが「ここで終わり」と決めるのを待ってゆっくり拍手するということが定着しているめずらしい鑑賞環境になっています。
慌てて握手する必要はないのに、拍手が早すぎる公演がいかに多いことか…。本来拍手するタイミングでは既に拍手の波が終わっている公演すらあります。

最近は遠方からいらっしゃる方も少なくないようです。
会場の広島JMSアステールプラザ(オーケストラ等練習場)は先般、オバマさんが献花をした広島平和記念公園のすく近く。
終演後、天気が良い時は緑が多く手入れの行き届いた公園を散策しながら広島市の中心部に出るというのも楽しみです。

広島公演の印象は東条さんとほぼ同じでした。

私は特に、バルトークが心に響きました。
このコンサートシリーズでは公演後にアーティストを交えた質疑応答が設けられます。
今回も設定され、一人の観客から「この曲は好きで、庄司さんが生まれる前から長く聴いているが、本日、新鮮な発見があった。この曲はこんな曲だったかと初めて知った思い」との発言がありましたが、「うんうん」とうなづいている人も少なからずいらっしゃいました。
演奏開始前の細川さんのレクチャーで、「庄司さんはハンガリーでのバルトーク勉強中、ホテル滞在でなく、一般家庭で生活した」と紹介してくださったことも鑑賞の助けとなりました。作品の土台となる文化を吸収しつつ、作品を勉強することが大切ということですね。

細川さんの曲は、庄司さんのための曲であるということもあり、非常に良かったですね。「巫女」のイメージという細川さんの言葉を彷彿とさせる場面もありました。
しかし、初めて聴く曲だったので「どこで終わるかわからない」というところはやや居心地が悪かった気がします(プログラムで演奏時間の目安が書いてあると良いと感じました。定期演奏会などでは演奏時間が書いてあり、初めて聴く曲も安心して聴くことができます)。
再演の機会があればさらに楽しめると思いました。ぜひ、再演してほしいと思います。

バッハに始まりバッハに終わるというプログラムは庄司さんの考えに基づくもの…とのことで、それも興味深い構成でした。
1曲目についてはいきなり、難曲からのスタートで、やや面食らいましたが、質疑応答で庄司さんから「3人のクレージーがいないとできない(作曲者・編曲者・演奏者)と言われた」という話を伺い、「なるほど、相当なチャレンジだったのだ」と知りました。

5月連休中の「ラ・フォル・ジュルネ」で庄司さんのリヒター(ビバルディ「四季」のリコンポーズ)の演奏が面白かったので、庄司さんには今後も現代音楽を入れたプログラムを組んでほしいと感じました。

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