2017-09

2016・6・2(木)テミルカーノフ指揮サンクトペテルブルク・フィル

     サントリーホール  7時

 ユーリ・テミルカーノフ率いるサンクトペテルブルク・フィルの今回の来日公演は、4都市で7回の開催。
 今日はその5回目で、ただ一つのプロ、ショスタコーヴィチの「第7交響曲《レニングラード》」だった。彼らがこの曲を日本で演奏するのは、1994年、2003年に続き、これが3度目になる。

 最初の頃の演奏と比べると、同じ豪壮雄大とはいっても、やはり落ち着いた佇まいを感じさせるようになっている。フィナーレの最後の怒涛のような昂揚にしても、22年前のそれは何か憑かれたような熱狂にあふれていたような記憶があるが、今は━━滋味豊かなものに聞こえる。
 といって、テミルカーノフの制御が衰えたという意味では全然ない。彼のつくる音楽には、昔はなかったような透明感豊かな響きが、年々増しているようだ。この奔馬のようなオーケストラを楽々と乗りこなすテミルカーノフ。指揮の身振りは最小限であるにもかかわらず、オーケストラは全力をあげて沸騰する。見事な統率力だ。

 それにしても、このサンクトペテルブルク・フィルも、相変わらず凄い。どちらかというと演奏には波のあるオケだが、凄い時は凄い。今日の「タコ7」での演奏は、その最も凄い部類に属するだろう。
 金管群の力感も見事だが、それよりもやはり弦楽器群のパワーが並外れている。冒頭の低弦の主題からして壮麗というか、豊麗というか━━こればかりは残念ながらわれわれの国のオケがどんなに力いっぱい弾いても、及ばぬものがあるだろう。弦には、その他随所に、厚みのある、しかも透明度の高い音色があふれていた。
 バンダの金管群はステージ上手側にずらり並んでいたが、あれだけ大量の金管群が咆哮しながら、弦の音が少しも消されないのも、このオケの立派なバランス感覚である。

 カーテンコールでテミルカーノフは、ソロでステージに呼び戻された。彼が第1レン・フィルと初来日した頃に比べると、隔世の感がある。終演直後の楽屋でも、ご機嫌だった。

コメント

東条さんこんばんわ。いつも私のいいたいことをそのまま感想にしていただいて、すっきりしております。
今回私も、弦のしなやかで透明できめ細かな、しかも芯のある響きに圧倒されました。 つい昨年までインバルの下での都響の弦の成長ぶりに驚愕していたところでしたが、この2月のバレンボイムのブルックナーチクルスでのシュターツカペレベルリンといい、今回のサンクトペテルブルク・フィルといい、欧米の地力あるオケが本気を出した時の弦の響きは、アジア人種ではどうやっても勝てないと思った次第です。
こんな凄いコンサートのチケットが安く手に入り、会社帰りにふらっといけてしまう東京も、音楽の都として凄いところになったものだと実感しました。贅沢な悩みですが、11月のウィーンとドレスデンの、3週連続ワーグナーへのハードルが高くなってしまいました。外すなよティーレマン!

ロシアのコロン臭

RA3列目で聞きました。
チューニング時からロシアのオーデコロンが吹き上げてきて鼻が詰まり、冒頭からロシアパワーに圧倒されました。 
こんな演奏会は稀の稀であり、聞けたことに、誰に向けるともない何とも言えない感謝の念が起こります。 空席が少し悲しく、開演前のおしゃべりのザワザワ感が異質でしたが、聞くべき聴衆が座っていた事も嬉しく感じます。

冒頭から繊細な響きに満ち溢れ、特に冒頭からティンパニーの音の柔らかさに魅了されました。 金管がRA席の下にあり見えないのはバイロイト祝祭劇場を彷彿とされ、直接金管の音が聞けたのはトラのホルン数名が終楽章でラッパを上に向けた時だけであり、RL席で聞いたら本日の演奏に別の印象を持ったのでは、と思っていましたが、当日の金管への東条さんの文中の記述から金管が飛び出るの事は無く、オケの楽器の響きに同一性があったことが判り、この日記が読めたことに感謝いたします。 当日の東条さんの視聴席エリアが書かれていたら、有り難かったのですが。

遠い過去、欧州のオケには各自の独特な響きの同一性がありましたね。
その昔レニングラード フィルは2つ在って、「ムラビンスキーのそれ」と「テルミカーノフのそれだ」と来日していた頃からの、息の長い両者の活動の脈を聞けました。

文京のシェエラザードのバスーン・ソロが楽しみです。

大阪では相変わらずの名曲路線で今回パスしたのが残念至極。彼らの演奏は現地でも聞きに行きましたがやっぱりスーパーオケです。特に内声部のチェロの強力なことは世界一でしょう。彼らの「レニングラード」聞きたかった。比較的地味と思われていたテミルカーノフがソロで呼び出されたこと、うれしい限りです。

コンマスとの握手

総白髪になってからのテミルカーノフは典型的なロシア貴族といった雰囲気があります。
今日も、演奏終了後、指揮台の上からコンマスに手を差し伸べると、コンマスは頭を下げテミルカーノフノの手を握ります。いつもの彼らの光景ですが、わが国やドイツ、アングロサクソンのオケでは見たことがありません。ロシアのツァ―リ!?
私はこの答礼が大好きです。演奏は、皆さんが述べられているように誠に感動的でした。

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