2019-05

7・11(金)広上淳一指揮 日本フィル

  サントリーホール

 広上が客演すると、日本フィルの音楽には、明快な意志のようなものが蘇る。

 武満徹の「3つの映画音楽」は、今やある種のノスタルジーに聴き手を浸らせる曲だが、ここでの弦楽器群はきわめて明晰な輪郭を示し、力強いシンフォニックな流れを創り出していた。武満の音楽の受容のスタイルも最近はひところの固定観念から脱し、多種多様に変化して、さまざまな側面から聴くことが可能になって来ているのがうれしい。

 ショスタコーヴィチの交響曲第12番「1917年」は、この日の圧巻。
 管弦楽の阿鼻叫喚のさなかにも循環主題を明確な形で浮かび上がらせ、しかも4つの(切れ目なしに演奏される)楽章それぞれの性格を際立たせながら最後の頂点へ持って行く呼吸など、広上の手腕は実に鮮やかだ。
 第1楽章での怒号の個所は、いささか騒々しい。日本フィルに時々聞かれる癖だ。しかし、同じ怒号でも、第4楽章に入った頃には、驚くほど均整を保った響きに変わっていたのである。多分2日目(12日)の演奏では、全曲にわたって好い結果が出るのではなかろうか。
 これは、もし広上がある程度長期間にわたってこのオーケストラとの共同作業を行なうことができたとしたら、再び昔のような絶妙な音色を引き出すことも容易い、という証明でもあろう。

 この2曲の間には、ボリス・ベルキンをソリストに、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番。これも面白かった。

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