2017-10

2016・5・30(月)樫本大進&小菅優&クラウディオ・ボルケス

     東京オペラシティ コンサートホール  7時

 小菅優(pf)、樫本大進(vn)、クラウディオ・ボルケス(vc)のトリオが演奏するベートーヴェンのピアノ三重奏曲集。

 今回は5月19日から30日までの間に6都市で計7回の演奏会を行ない、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲(番号付)全7曲のうち、「第4番」を除く6曲を4通りに組み合わせてプログラムを組んでいた。「第4番」を除いたのは、原曲がヴァイオリンでなくクラリネットによる版だったからか。

 で、今日は「第3番」「第6番」「第7番《大公》」というプログラム。
 スター3人のトリオだから、多分満席だろうと思っていたのだが、意外にもそうでなかった。だが、この演奏は、満席になってもいい内容だったのでは? 「第6番」と「第7番」を並べて聴くのはかなり重圧感があるが、それだけに手応え充分である。

 ベートーヴェンのピアノ三重奏曲を、3曲いっぺんに、しかも名手たちの演奏で聴ける形のコンサートには滅多に出会えない。ナマ演奏でこうして聴いてみると、ベートーヴェンの作曲技法の並外れた巧さ、多彩さに、改めて感動させられずにはいられなくなるのだが、それはもちろん、彼らの卓越した演奏のおかげである。

 たとえば「第6番」の第2楽章で、ピアノが奥で柔らかく波打ちつづけているその上に、ヴァイオリンとチェロとが、短いさまざまな音型で、交互に対話を交わして行く個所。あるいは第3楽章で、今度はヴァイオリンとチェロとが組んで、ピアノと交互に対話を交わして行くあたり。これらの個所での3人の、優しい、叙情的な感性が素晴らしい。
 樫本、ボルケスの息の合った美しい音色の弦は実に快いが、小菅優のピアノも、また何とも見事にアンサンブルが溶け合っている。

 「大公トリオ」の第1楽章冒頭の主題でも、小菅優のピアノは少し控えめで、落ち着いている。ただしリピートの際には、ややスケール感が加わった。
 この楽章、3人ともに、もう少し伸びやかな解放感と男性的な力感とがあってもいいようにも感じられたが、考えてみるとこの楽章は「アレグロ・モデラート」なのであって、ベートーヴェンがよく使う「アレグロ・コン・ブリオ」ではなかったのだ。したがって、こういう演奏スタイルも成り立つはず。この流れのいい、柔らかい叙情性こそが、彼らトリオの持ち味でもあるだろう。

コメント

東条さん、おじゃましまーす。
30日に、テミルカーノフ行ってきました。パンフレットに文章をお書きになっていたので、いらっしゃるかなと思ったのですが、30日は樫本氏だったのですね。コンサート評が読めず、残念。レニングラードの日のみ行かれるのでしょうか。諏訪内さんを含め、とてもいいコンサートでした。公演評、楽しみにしています。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://concertdiary.blog118.fc2.com/tb.php/2448-8ca01a64
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

カテゴリー

全記事表示

全ての記事を表示する

RSSフィード

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」