2017-11

2016・5・28(土)クシシュトフ・ウルバンスキ指揮東京交響楽団

      サントリーホール  6時

 プロコフィエフの「ピアノ協奏曲第3番」(ソリストはアレクサンダー・ロマノフスキー)と、チャイコフスキーの「交響曲第4番」を組合わせた定期。

 「首席客演指揮者クシシュトフ・ウルバンスキ」の名は、東京響のメンバー表からはもう消えてしまっている。わずか3年ほどの間だったが、このポーランドの俊英指揮者がキラルなどの作品で聴かせてくれた鮮烈な演奏は、忘れられない。いよいよ多忙を極めるようになった彼を、次に聴ける機会は、いつになるだろう?

 今日のチャイコフスキーの「4番」も、すこぶる個性的な表現だった。といって、奇を衒うような指揮ではない。むしろストレートなつくりだ。だがテンポはかなり遅い。彼はかつて、ブラームスの「第2交響曲」などでも、故・朝比奈隆のそれに匹敵するほどの遅いテンポを採っていたことがある。

 音の構築は、いつもながら緻密を極める。しかも、ほぼ完璧な均衡を保ちつつ、その中に内声部の各パートを明確に浮かび上がらせ、その微細な交錯で見事な多彩感をつくり出す。チャイコフスキーの「第4交響曲」の第1楽章が、決してヒステリックで感傷的な怒号の音楽でなく、他の作品と同様に精妙な管弦楽法を備えていることを、これほど明らかにしてくれた演奏も稀であろう。グレブ・ニキティンをコンサートマスターとした今日の東京響もそれに応え、柔軟で魅力的な演奏をしてくれた。

 第1楽章では、「運命」のモティーフでホルン群が強力な存在感を示し、再現部第2主題(第295小節以降)でも、ゆったりと揺らぐ弦と木管群の裏で歌う1番ホルンのソロがいい味を出す、といったような趣もあった。
 第2楽章ではオーボエが見事なソロを聴かせる一方、弦は副次旋律(第41小節から)でたとえようもなく秘めやかな、陰翳豊かな音色をささやく。
 また、第3楽章での、金管とティンパニによるピアニッシモの行進曲の音量設計の巧さも驚きで、これこそまさに、チャイコフスキーが説明した「眠る人の頭の中に描かれる幻想━━遠くを通る軍楽隊の響き」というイメージなのだと感心した次第である。

 プロコフィエフの「3番」でも、ウルバンスキと東京響が聴かせたオーケストラ・パートのカラフルな躍動感は見事の一語に尽きる。ここではロマノフスキーのソロも素晴らしく、客席から見ていると、おそろしく大きな手で楽々と弾きまくっているように感じられるのだが、その音色は実に綺麗である。彼がアンコールで弾いたバッハ~シロティ編の「プレリュード ロ短調」は、さらに夢のように美しかった。
     別稿 音楽の友7月号 Concert Reviews

コメント

お疲れさまです。会場でお見かけしておりましたので、どのような評価をされるのか、とても楽しみにお待ちしておりました。   さて、ウルバンスキ/東響ですが、今回も期待を遥かに上回る素晴らしい演奏でした!!ホントにこの指揮者は何を指揮しても、これ迄聴いたことのない斬新な音楽をオーケストラから導き出します。先日の大阪フィルとの、まるでラヴェルのように聞こえるチャイコ「ロメ・ジュリ」や、ルトスワフスキ「オケ・コン」での煌星の如く燦然と輝く音のシャワー・・・。その興奮も覚めぬままでの今回の東響。オケの技術、精度といった点では大フィルに軍配をあげますが、直向きな真面目さでは東響か・・・。プロコも好かったですが、圧巻はチャイ「4」でした!!全編衝撃仰天驚愕!。これまで聴いてきたこの曲の演奏は何だったんだぁ??? 全て書くとトンデモナイ量になってしまうし、私のヘタな文章では到底表現できる類の音楽ではないので、一つだけ。第4楽章、“運命の動機”が高らかに再現されるくだりでの2発のバスドラ強打が、マーラー「6番」の2発のハンマー“運命の打撃”のように聞こえて震撼させられたということ。将又、終結部での更なる1発は削除された3度目のハンマーか? !!・・・。 耳タコができる程この曲を聴いてきて、こんなふうに感じさせてくれた演奏はこれまで一度もありませんでした。天才だと思います。 録音マイクが下がっていたので是非ともCD化してほしいと思います(するべき!!)。

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