2017-06

2016・5・22(日)トッパンホール15周年室内楽フェスティバル最終日

     トッパンホール  3時

 山下一史が音楽監督に就任した「ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉」(日本オーケストラ連盟準会員オーケストラ)の定期を聴きに行く予定も当初はあったのだが、午前中の来客と打ち合わせの2件のあとでは、津田沼まで行くのは到底間に合わずと見て取り、「トッパンホール室内楽フェス」の方に変更した。
 この第6日は全シューベルト・プロで、「白鳥の歌」全曲と、「弦楽五重奏曲」の2曲。

 「白鳥の歌」は、ユリアン・プレガルディエンのテノールと、マルティン・ヘルムヒェンのピアノ。
 これはまあ、予想通りという思いと、まあ仕方がないだろうという思いとが相半ばする演奏となった。やはりシューベルトの後期の歌曲は、並みの経験では歌えない難物なのだという印象を改めて強く抱かされる。

 ユリアンも懸命に歌っていたことは充分に感じ取れるけれども、シューベルトが歌詞の内容に応じて微細微妙に音楽のニュアンスを変えて行ったあの独特の世界を再現するには、さらなる時間が必要だろう。
 「影法師」のような暗澹たる曲想の個所だけでなく、「別れ」のような快活な曲想においても、反復されるモティーフがどれも単調に聞こえ、感情の変化に乏しいというところにも、問題の一つがある。

 「弦楽五重奏曲」は、クリスティアン・テツラフと日下紗矢子(vn)、鈴木学(va)、ターニャ・テツラフとマリー=エリーザベト・ヘッカー(vc)が演奏した。
 アンサンブルの妙味というよりは、名手が競い合う━━といったような演奏になってはいたが、それはそれでスリルがあるだろう。シューベルト最後の室内楽曲の、この世ならざる美しさと凄まじさとを再現するには、こういう激烈な演奏の方が合う。

 とはいっても、死を前にしたシューベルトが全曲の最後に挿入した、異様なほど破滅的で凄愴なあの終結和音をも、彼ら演奏家たちがそれほど深刻に解釈していないようにみえたのは、やはり若さの気魄のなせるわざか。

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