2017-06

2016・5・16(月)アンドレア・バッティストーニ指揮東京フィル

     サントリーホール  7時

 首席客演指揮者バッティストーニが、イタリアン・プログラムを振る。彼、最近、見るたびに偉大なる体格になっていくような気がするが・・・・後姿は、黒服と、激烈な身振りの指揮と併せて、怒れるキングコングさながらだ。

 彼が東京フィルから引き出す音楽は、今日も猛烈に熱っぽい。
 1曲目のヴェルディの「ナブッコ」序曲では、前半は少し狎れたような、若干緊迫度が希薄に感じられるところもなくはなかったものの、後半は例のごとくダイナミックに押しまくり、盛り上げた。

 そして、ひときわ面白かったのが、ニーノ・ロータ作曲のバレエ組曲「道」である。
 大昔、この映画の主題曲はヒットパレードの常連だったが、日本で専ら流れていたスリーサンズの演奏は、私はあまり好きではなかったので、何となくいい印象を得なかった。その後、この組曲は一度聴いたような気がするのだが、演奏会だったかFMだったか、記憶が定かではない━━ということは、その時には面白く感じられなかったのだろう。
 70年代半ば、ロータが来日して新日本フィルを指揮した時にインタビューし、この曲について詳しく話してもらったこともあったが、失礼ながらあまり実感は湧かなかった。

 結局、この曲の真価は、今回初めて理解できたようなものである。その意味でも、今日のバッティストーニと東京フィルの大熱演には、感謝しなくてはならない。
 大編成の管弦楽はすこぶる色彩的であり、ジャズの手法やストラヴィンスキーの影響なども聴き取れ、ほぼ30分間におよぶ組曲(切れ目なしに演奏された)におけるロータの才能は、やはり端倪すべからざるものがある。
 あの有名な「ジェルソミーナ」のテーマも第3曲と第7曲で現われたが、特にその第7曲では、トランペットで甘く朗々と吹かれる。見え見えの効果狙いであるとは思いつつも、何となくジンと来てしまうのが、あの映画の初公開時代を体験している世代の人間の、偽らざる感情というものであろう。

 プログラムの後半は、レスピーギの「教会のステンドグラス」だ。「ローマ三部作」以外のレスピーギの優れた作品が、こうしてバッティストーニの指揮により聴くことができるのは、大いなる喜びである。これは、この作曲家がいかに管弦楽法の名手であったかを示す最良の作品の一つであろう。

 アンコールには、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲が、かなり濃い表情で演奏された。バッティストーニみずから、10月に上演予定の「イリス」について予告、その同じマスカーニの・・・・というアナウンスをして指揮に移る。なかなか巧いPR方法である。
 東京フィルの今日のコンサートマスターは近藤薫。極めて華麗なる熱演を聴かせてくれた。

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