2017-05

2016・5・14(土)アレクサンドル・ラザレフ指揮日本フィル

      横浜みなとみらいホール  6時

 新宿でのシティ・フィルの定期演奏会から2時間置いて、今度は横浜でのアレクサンドル・ラザレフと日本フィルハーモニー交響楽団の「横浜定期」。

 モーツァルトの「フィガロの結婚」序曲と「ヴァイオリン協奏曲第5番《トルコ風》」(ソロは渡辺玲子)、ベルリオーズの「幻想交響曲」というプログラム。アンコールはビゼーの「カルメン」第3幕の前の「間奏曲」だった。
 日本のオケの演奏もいいものだぜ、世界のブランドだけが全てではないよ、と言いたくなるような例が、ここにもひとつ。

 弦16型の大編成を快速テンポでソフトに響かせた序曲、渡辺の芯の強いソロを羽毛の如く軽やかな音色で包んだ協奏曲━━と進んだあとには、重厚で、見事なほど完璧な音響バランスを備えたベルリオーズが来る。
 ラザレフの指揮だから猛烈果敢な悪魔の饗宴になるだろうと思うのが普通だが、実際は正反対で、これほど遅めのイン・テンポで骨太に、剛直に、力感豊かに揺るぎなく演奏された「幻想」も珍しいだろう。

 ベルリオーズの「激情」は、ここでは烈しく爆発するというよりは、強面の表情の中に矯められ、音楽もロマン派の標題音楽というよりはむしろ古典的な構築を前面に押し出して、滔々と流れて行く。音響こそ轟くばかりの豪快さだが、それが感情に流されることはない。その意味では、最終個所の阿鼻叫喚のクライマックスなど、少々肩透かしを食ったような思いにさせられるだろう。

 なお今回は、第2楽章(舞踏会)で、コルネットのパートが復活され、名手クリストーフォリがトランペットで鮮やかに吹いていた。私は、作曲者自身がカットしてしまったこのコルネットのパートが好きで、復活された方が音楽に華やかさが出ると思っているのだが、久しぶりにこれをやってくれた指揮者に出会ったというわけだ。
 また、第5楽章に本物の鐘(先日「皇帝に捧げし命」の最後で打ち鳴らされたあの鐘である)を使っていたのもよく、これはチューブベルではやはり悪魔的な野趣は出せないだろう。

 ラザレフ、今日も指揮しながら客席に身体を向けてホールの響に浸ってみせたり、客席に向いた格好で勢いよく振り終えてみせたり、果ては自ら客席に降りてしまってオケに拍手を贈ってみせたり、相変わらず賑やかなこと。

コメント

在京オケは土日の昼間に集中して演奏会を開くので、夜に公演があるとこのようにハシゴができていいですよね。移動の時間を考えると、14時-18時の組み合わせがベストだと思います。

私は、この日は未聴ですが、東条さんの“日本のオケの演奏もいいものだぜ”“世界のブランドだけが全てではないよ”の意見には大いに賛同したいです!! ラザレフ/日フィルでは、ショスタコ「4番」、ラフマニノフ「1番」の凄まじいまでの熱演は、彼の首席退任後も永遠に私の記憶に残ることでしょう。将又、(ごく最近のモノだけでも)パーヴォ/N響のニールセン「5番」、ウルバンスキ/東響の「我が祖国」 他、メルクル/新日フィルの「ダフニス・・・」、カンブルラン/読響の「トゥーランガリラsyn」、尾高/神奈フィル(他)のウォルトン「1番」 等等・・・これらを聴いたら浅はかなブランド嗜好が甚だバカバカしく思えてきます。私は今回の“世界最高ブランドの某外来オーケストラのベートーヴェン”は某カナダ人指揮者と米東側オケの演奏を全て(地方も)聴くためにパスさせていただきました。ま、こちらも一流ブランドですが、某二大オケのようにチケットが即日完売なんてことにはならない。いかにネームバリューだけで聴きに行く一般客(普段、コンサートなど聴かない連中)が多いかということですね。何せ、4万も払って時差ボケ演奏を聴かされても大喜びで拍手喝采できるのですから(初日の演奏は、私の知り合い連中からも辛辣な意見が飛んできた)。そんな感覚の鈍った人達が無駄に席を占領していて本当に音楽を愛している人達がチケットを買えず当日券売場の前にキャンセルを求めて列をなす。なんて恥曝しで情けない状況・・・オケも、それをわかっているから平気で手抜き演奏をする(毎年日本に来るもう片方の世界最高ブランドオケも然り)。聴いていない私にどうこう言う資格はないが、“世界最高ブランドの某外来オケ”へのコメントが、これを書き始めた時点でゼロであることからも窺い知ることができる。また、こんなことを書くと批判が殺到するかもしれないが、気にしない。書きたい方はどうぞ。

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