2017-06

2016・5・11(水)中嶋朋子が誘う音楽劇紀行第一夜

    Hakuju Hall  2時

 当初は夜の公演だけだったのが、完売になったので昼公演が追加されたそうである。この昼公演もほぼ満員。圧倒的に女性が多い。

 全6回と予告されたこのシリーズ。今日の第1回は、「バロック・オペラからミュージカルへ~音楽劇の歴史を追う」という副題が付されており、グレゴリオ聖歌からミュージカルまでの中から13作品を取り上げ、中嶋朋子が「案内人」となって朗読を受け持つという仕組みだ。

 曰く、グレゴリオ聖歌、中世典礼劇、ジョスカン・デプレ、シャルル・テシエの作品から各1曲と、以下はオペラから、モンテヴェルディ、ヘンデル、パーセル、モーツァルト、ヴェルディ、マスネ、フンパーディンク、J・シュトラウス2世、バーンスタインの作品から各1曲が並ぶ。
 演奏者は、ヴォーカル・アンサンブル・カペラ、藤木大地、森谷真理、中川晃教。音楽監督として加藤昌則がピアノとオルガンとチェンバロを演奏、田尾下哲が総合プロデューサーを務めた。

 これは、極めて面白い企画だ。中嶋のナレーションがあまり理屈っぽい内容でなく、人類が登場した頃の最初の発声から、それが神への祈りの歌、人間ドラマの音楽へと展開して来たさまを、少しロマンティックな雰囲気をこめて物語るという、解りやすい形になっているのもいい。これがもし音楽学者が出て来て解説しながら━━という形になっていたら、堅苦しい音楽講座になってしまい、こんなに満員にはならなかったことだろう。

 声楽陣の中では、中世の音楽を得意とするヴォーカル・アンサンブル・カペラと、バロック以前の作品を歌うカウンターテナーの藤木大地が、歌唱に説得性を感じさせていた。
 ただしどうも、声楽と加藤昌則のキーボードとの呼吸が、一体感に欠けるのだが・・・・。

 ついでに、敢えて注文をつければ、台本作者の名は明示されていないが、ナレーションの中に出て来た作品の話が、実際に演奏される作品と結びつかなかったりすることがある。「オルフェオ」の物語に詳しく触れながら、曲名紹介なしに始まった曲が「ポッペアの戴冠」だったという具合である。暗い席ゆえにプログラムを参照するわけには行かぬ客席の状況を考慮すると、台本としてはもう少し考慮する必要があるだろう。

 そして、どんな作品にも、やはり字幕が欲しいところである。
 さらに、ナレーションと演奏の接続━━ステージへの出入りを含む━━をもっとスムースなものにしていただきたい。田尾下哲が絡んでいるなら、もう少し要領よく、洗練された形で演出されるかと思っていたのだが。

 第2回は、今年12月になるという。良い企画だから、いろいろ練り上げていただきたい。くれぐれも、単なる「オペラ名アリアの夕べ」という平凡な構成に堕さぬようお願いする。

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