2017-06

2016・5・10(火)外山雄三の大阪交響楽団シェフ就任定期

     ザ・シンフォニーホール  7時

 午前10時から赤坂のキャピトル東急ホテルで、ラトルとベルリン・フィルの来日記者会見が行われた。61歳を迎えているラトルは、かつての精悍な雰囲気から丸味のある堂々たる風格の体型となって、一瞬マゼールが出て来たのかと錯覚を起こさせるほど。

 それはそれとして、午後から大阪へ向かう。これは文化庁の芸術文化振興基金の調査を兼ねてのもので、聴きに行く演奏会は、外山雄三の大阪交響楽団ミュージック・アドバイザー就任記念の定期だ。
 プログラムは、外山自身の作「オーケストラのための《玄奥》」で開始され、次がプーランクのバレエ組曲「模範的な動物たち」、最後にベートーヴェンの「英雄交響曲」。

 先日の「大阪4大オーケストラ」の時にも感じられたことだが、大阪響は彼の指揮の下で、最強奏における金管と弦とのバランスの良さなど、アンサンブルの整備は実現されつつあるように思われる。特に金管群は、安定度を増した。荒れていたアンサンブルを整えるには、こういう指揮者がお目付け役として存在するに限る。
 ただ、それはいいのだが━━。

 最初の自作(昨年初演された、諏訪交響楽団創立90周年委嘱作の由)は「名刺代わり」ということでともかくとして、次のプーランクの作品は、いかにも生真面目な、整然として端整極まる音楽となっていたのには微苦笑を誘われる。これは、プーランクの作品からウィットやユーモアや色彩感を取り去るとこういう音楽になるのだ、という見本のような演奏ではなかったか。

 「英雄」は━━デュナミークや、ホルンの扱いに一部強調はあったものの━━ほぼ楽譜に忠実な演奏となっていたが、しかし・・・・これほど全く作為なしに、淡々と、しかも終始イン・テンポで押し切った「英雄」も珍しいだろう。

 確かに、ストレートな演奏なりの良さは感じられた。第1楽章にはそれなりの飾らぬ風格はあったし、第2楽章終結近くでは、作品に本来備わっている寂寥感が飾らぬ表情で自然に、感動的に再現されていた。
 だが、後半2楽章になると、そのあまりにも頑固なイン・テンポが、次第に耐え切れなくなるほどの重圧に感じられ始めたのも事実である。

 第4楽章終結のプレストが、その前のポーコ・アンダンテに比べて快速感がなく、悠然と進められ、そして最後に念入りなリタルダンドを以って閉じられると・・・・「傑作の森」の時期に突入した若きベートーヴェンの革命的な気魄が、こんなに落ち着き払った、老成した形に変えられてしまってもいいのだろうか、という疑問さえ起って来る。

 カーテンコールの際、森下幸路コンサートマスターが拍手を一度制し、「今日は外山先生のお誕生日です」と告げると、客席から改めて歓声と拍手が巻き起こり、「ハッピー・バースデイ」の演奏とともに、二宮光由インテンダントが、人の上半身ほどもある大きな花束をマエストロに捧げるという温かいセレモニーがあった。

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