2017-11

2016・4・23(土)山田和樹指揮読売日本交響楽団

      東京芸術劇場コンサートホール  2時

 読響は東京芸術劇場との提携によるマチネーのシリーズを拡大し、新シーズンから「土曜マチネーシリーズ」と「日曜マチネーシリーズ」を開始したが、今日はその第1弾とでもいうべき演奏会。
 山田和樹が客演指揮、オネゲルの「パシフィック231」、グリーグの「ピアノ協奏曲」(ソロは小山実稚恵)、チャイコフスキーの「悲愴交響曲」という、すこぶる強力な布陣が敷かれた。

 客席がほとんど全部埋まっているのに感心する。見たところ、年齢層はやはり高めのようだが、ふだんクラシックの演奏会にはあまり来たことのないような人も結構多いようで、その意味では、聴衆の拡大を図る土・日のマチネーの成果は出ていたと思われる。

 演奏が見事。山田和樹の張りのある指揮と、読響(コンサートマスターは小森谷巧)の強大なパワーとが相まって、骨太で豪壮な演奏が出現した。
 山田の「パシフィック231」は、一昨年のスイス・ロマンド管との日本公演でも聴いた記憶があるが、今回はその時の演奏よりも更にダイナミックな機関車の驀進が描かれていただろう。

 半世紀ほど昔、ある評論家がパリでこの曲を聴き、「それは本当にもう物凄い曲だと思いましたよ」とラジオで語っていたのに憧れ、その後日本のオケが演奏するのを二つ三つ聴いたが、騒々しいだけでちっとも凄くないじゃないか、と落胆し続けた経験がある。それを思えば、今日の演奏は、夢の実現ともいうべく、至極満足なものであった。近くにいた中年の女性2人組は「なんだ、こんなに短いの?」とがっかりしていたが・・・・。

 小山実稚恵のグリーグを聴いたのは、もしかしたら今回が初めてだったか? 山田はオケを轟々と鳴らし、小山は一歩も引かずにシンの強い表現で丁々発止の応酬を繰り広げる。そのさまが面白い。
 北欧の憂愁美といった要素はあまり感じられないものの、毅然とした佇まいのグリーグ像が立ち現れていたような気がする。久しぶりに聴くと、実に良い曲だ。

 そして最後の「悲愴」は、これもがっちりとした骨格を備えた豪快な音楽づくりだ。チャイコフスキー特有の「ffff」から「pppppp」にいたるデュナーミクの広さはあまりなく、すべてが明晰な音量と音色で演奏されたという感だったが、しかし決して野放図な演奏ではなく、多少の自由さを含みつつも、適切な制御の利いた、スケールの大きな構築だったのである。胸のすくような、ストレスが解消されるような、痛快な「悲愴交響曲」であった。

 それにしても、山田和樹の指揮はいい。そういえば、彼が横浜シンフォニエッタを一昨年熊本で指揮したライヴによる、信時潔の「海道東征」のCDが今月出た(エクストンOVCL-00593)。一聴して、その透明な美しさに舌を巻き、昨年大阪で聴いた別の演奏では再現されていなかった信時の作品の清澄な叙情の素晴らしさを、改めて認識させられた。本当に、いい指揮者になったものである。

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