2017-09

2016・4・14(木)下野竜也指揮読売日本交響楽団

   サントリーホール  7時

 池辺晋一郎の「多年生のプレリュード」、ベートーヴェンの「交響曲第2番」、ジェラルド・フィンジ(1901~56、英)の「霊魂不滅の啓示」という、いかにも下野の演奏会らしいプログラム。そして事実、見事を極めた演奏だった。

 池辺の「多年生のプレリュード」は、5年前に読響500回定期記念委嘱作品として下野が指揮し初演したもので、聴くのはあの時以来になる。この作曲家らしい快活明朗な作品で、いわば「序曲」のように、演奏会の幕開きにはぴったりの音楽だ。
 そしてそのあとにベートーヴェンのニ長調の交響曲が開始されると、これがまた実にいい流れで2曲が結びついているような気分になる。プログラミングの妙というものであろう。

 しかもこのベートーヴェンの「2番」が、驚くほど堂々たる風格と剛直な構築性、隙のない緊迫度を兼ね備えた演奏だったのである。読響(コンサートマスターは長原幸太)の充実した音の良さもさることながら、下野のベートーヴェンがこれほど成熟した世界に到達して来たとは━━。いい指揮者になったものだ。

 フィンジの「霊魂不滅の啓示」は、英国の詩人ワーズワースの詩を基にしたテノール・ソロ(ロビン・トリッチュラー)と合唱(二期会合唱団)と大管弦楽のための、演奏時間も40分を超える大規模な作品だ。着手が1930年代、完成が1950年というが、音楽のスタイル自体は、所謂「現代音楽」風からは遠く距離を置いた、エルガーなどの流れを汲む穏健で美しい世界に属するものである。

 ━━そういう点からいっても、池辺晋一郎の作品を冒頭に置き、大きく弧を描いてこのフィンジの世界に戻って来るようなプログラム構成は、実に巧みなものだったと謂うべきだろう。演奏もそれにふさわしく、壮麗なものだった。

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