2017-11

2016・3・24(木)夢幻能「月に憑かれたピエロ」

    東京文化会館小ホール  7時

 大ホールでの「夕鶴」が終演して2時間半後、今度は小ホールでの「東京・春・音楽祭」公演を聴く。

 シェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」と能とを結び合わせた、注目すべき意欲的な企画だ。ソプラノの中嶋彰子さんがコンセプトを作り、自ら歌いつつ演出も行なっている。
 シェーンベルクの世界と、その中に挿入される能の世界とが、実に自然に、違和感なく結びつくさまが素晴らしい。両者の音楽が交錯して行く過程も、巧くできるものだな、と感心させられるところが多い。ほんの一例だが、能の笛の音がそのまま「ピエロ」のフルートに受け渡されるという手法の個所もいくつかある。これも巧みなアイディアだ。

 この「中嶋彰子の夢幻能」は、2012年12月10日にもすみだトリフォニーホールで観たことがあるので、詳細はその日の項に譲る。
 ただ今回は、演出と、特に能の部分が、以前のものとかなり異なっている。前回は謡の部分がかなり多く、「ピエロの愛と生涯」のような「物語性」が具体的に感じられたが、今回は舞に重点が置かれていたようである。そのため物語の具体性や、劇的な面白味といったものは希薄になったけれども、舞台の幻想味はむしろ増したかもしれない。外国で上演する場合には、この形の方が良いのではないかと思われる。

 背景に投映される映像(高岡真也)はほぼ前回と同じで、巨大な月、詩の内容を少しイメージ化した日本語がデザイン化された字体で幻想的に投影されて行く。いわゆる字幕とは違うので、「シュプレヒゲザング」される言葉がすべて映し出されるわけではなく、曲の内容すべてをここから理解できるということにはならない。前回はこれについて少々疑問を呈した次第だが、映像動画に幻想味をもたせるという点からすれば、これはやはりこのままの形が正解だろう。

 今回の協演は、指揮がニルス・ムース、ヴァイオリンとヴィオラが水谷晃、チェロが上野通明、フルートが齋藤和志、クラリネットがコハーン・イシュトヴァーン、ピアノが斉藤雅昭、シテ役が渡邊 之助、笛が松田弘之、太鼓が望月太喜之丞、地謡が佐野登、藤井雅之、高橋憲正。何人かは前回の上演の際と共通した顔ぶれだ。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://concertdiary.blog118.fc2.com/tb.php/2396-862057fb
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

カテゴリー

全記事表示

全ての記事を表示する

RSSフィード

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」