2017-03

2016・3・24(木)團伊玖磨:「夕鶴」

   東京文化会館大ホール  2時

 市川右近の演出、千住博の美術、成瀬一裕の照明、森英恵の衣装、現田茂夫の指揮、佐藤しのぶの主演による「夕鶴」のプロダクションの再演。今年は2月14日から3月27日まで、10都市計11回の公演である。

 1952年に初演されたわが国のオペラの定番、「夕鶴」が、囲炉裏とか野良着とか、鍋とか茶碗とかが出て来る伝統的な演出スタイルから解放され、大道具も小道具もほとんどない、照明と映像を中心にした舞台で演じられるようになったのは、ある意味で目出度い傾向であると言えるだろう。
 もちろん、民族的な香り豊かな農村の光景による「夕鶴」の舞台も、それはそれで魅力はあるけれども、そうでない抽象的な舞台演出にも耐え得るオペラであるということが証明されたわけだからだ。いずれは、これがどこか昭和の町を舞台にした設定で上演される日が来るかもしれない。

 このプロダクションについては、プレミエの2014年3月(14日)のところで書いたので、詳細は省く。市川右近の演出は、動きを抑え、静的な緊張感を保たせて物語を進めるという、まさに日本の歌舞伎か能のような手法を採っている。とはいえ、これが完全に成功していたかどうかは一概には言い難く、特に全曲の幕切れの場面などは些か「間」が保てない感がないでもなかった(そこでの子供たちの動きが妙にアンバランスな感を与えた所為もあっただろう)。だがこれは、好みにもよるだろう。

 出演は、佐藤しのぶのつうの他、倉石真の与ひょう、原田圭の運ず、高橋啓三の惣ど。ピットには東京シティ・フィルが入り、子供たちは杉並児童合唱団が歌い演じた。
 佐藤しのぶの舞台姿には今も流石に華があるが、1人のスター歌手に頼り過ぎるのは無理を生じる━━ということも考えなくてはならぬ時期になって来たかもしれない。
 男声陣で舞台姿が市川右近の演出意図に合っているように感じられたのは、やはり高橋啓三だ。仁王立ちになった姿からして、サマになっている。
 シティ・フィルは、時に弦が透明な音色で美しさを出すこともあるのだが、概して音の響きが薄い。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://concertdiary.blog118.fc2.com/tb.php/2395-6f6a0ea7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

カテゴリー

全記事表示

全ての記事を表示する

RSSフィード

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」