2017-10

2016・3・19(土)ワーグナー:「さまよえるオランダ人」

      神奈川県民ホール  2時

 びわ湖ホール、神奈川県民ホール、iichiko総合文化センター、東京二期会、京都市響、神奈川フィル、九州響が共同制作として名を連ねる「さまよえるオランダ人」。
 指揮は沼尻竜典、演出はミヒャエル・ハンペ、装置と衣装はヘニング・フォン・ギールケ。
 3月5日と6日にびわ湖ホールで観たものと同じなので、詳細は省く。

 今日は横浜の初日公演。びわ湖ホールで2日目に出演した人たちが、こちら神奈川県民ホール公演では初日に歌う。ロバート・ボーク(オランダ人船長)、斉木健司(ノルウェー船長ダーラント)、横山恵子(その娘ゼンタ)、樋口達哉(狩人エリック)、竹本節子(乳母マリー)、高橋淳(舵手)。
 合唱は全日同じで、二期会合唱団、新国立劇場合唱団、藤原歌劇団合唱部。
 オーケストラは、こちらでは神奈川フィルが担当した。

 ホールが異なり、それも初日公演となると、慣れないことも手伝ってか、プロジェクション・マッピングの映像や照明にも、若干のずれが出るものらしい。
 今日の映像には、残念ながら、びわ湖ホールの2日目公演(6日)におけるような完璧さを見ることは出来なかった。特に第3幕での幽霊船の映像では、びわ湖ホールにおける2日間の上演ではついぞ無かったような、不自然なぎこちなさが目立ってしまった。見せ場だっただけに、惜しいことこの上ない。明日の公演では改善されるだろう。

 歌手陣では、ゼンタ役の横山恵子が、びわ湖ホール公演を遥かに上回る、見事な歌唱だった。力み返ったような感じも消え、伸びの良い声を聴かせてくれた。彼女は以前の「ヴァルキューレ」の時もそうだったが、2回目の公演での方が、飛躍的に良くなるようである。ただ今回、びわ湖ホールの時よりも類型的な「手の動き」が増えたように見えたのは、演技に厳しいハンペ親方がいないため、ふだんの癖が出てしまったのか? 

 これに対しオランダ人役のボークは、びわ湖ホールでの方が、遥かに迫力があった。今日は体調でも悪かったか? 第3幕の「Segel auf! Anker los!(帆を揚げよ!錨を上げろ!)」の個所で落ちてしまったのは、声が一瞬出なくなったためだろうか? 遠目に見ると伊吹吾郎に似た侍っぽい顔付の、押し出しも良い人だけに、今回はちょっと惜しかった。

 神奈川フィルは、ホルンに難があったものの、全体としては予想以上に頑張っていた。京都市響の密度の濃い響きに比べると、どうしても随所に音の薄さが感じられてしまうのは残念だが、とにかく、ピットの中でワーグナーをこれだけたっぷり聴かせてくれたのだから、善しとしよう。
 オーケストラをここまで引っ張った沼尻竜典の指揮は、実に見事であった。今回の上演の成功の最大の功績者は彼であったことに間違いはない。

 4時半終演。

 ※第1幕でずっと続いていた「異音」、私も閉口していましたが、「感動人」様がホール側から得た回答によれば、高齢の観客が健康上の理由で携えていた「酸素ボンベの異音」だったということ(☞コメント)で、少々驚いております。そういうケースは、これからも増えてくるかもしれませんね。といって、対策もなかなか難しく・・・・。

コメント

楽しめました。

 いつも通り拝見しています。朝日新聞の長木誠二さんのえらく酷評があったので、心配して見に行ったのですが、良かったです。
 素人の、私の感想は、http://kandoujin.blog48.fc2.com/

異音について

演奏そのものよりも、オランダ人のモノローグあたりから
客席内下手側で「キーン、キーン」あるいは「ピー、ピー」というような
機械金属音がしていたのにはお気づきでありませんでしたか?
神奈川県民ホールは響きが特殊で、思わぬところから音がするので
異音発信源が定かではありませんが、観客の携帯等の音では
なかったと思います(そんなことをすれば周囲が袋叩きにするでしょう)。
いったん収まって、またかなり長い間続いていましたので、ホール側の
PA不具合か何かだったのではないでしょうか。
だとすれば問題なのですが。
因みに私の座席は1階後方上手側で、周囲にも同じように異音発信源を
求めてきょろきょろする方が何人かおられました。

異音していました。

 そういう異音していました。ピーピーと、下手、ピット先でしょうか。1幕など、1回10数回、10回以上でした。私の席は、中央、最前列。なんでしょうか。

異音不味いです

今秋、来日予定のウィーン国立歌劇場 ムーティ指揮モーツァルト:「フィガロの結婚」の会場がココなので、ホール側(PA等)の問題であるならば早急に原因の究明、対処をお願いしたいです。数万も払って異音を聴かされ続けちゃ、それこそホール関係者が袋叩きに遇っちゃう?

神奈川県民ホールでモーツァルト

いずれにしても、あの大きなホールでモーツァルトというセンスにがっかりです。
武道館で聴いたニューヨークフィル、普門館で聴いたカラヤン=ベルリンフィルをを思い出します。

異音のホールからの回答を転載します。

以下の回答が、ありましたので差し出がましいのですが転載します。
ーーーご指摘いただきました19日上演中の異音についてご返信申し上げます。
異音につきましては、通常の携帯電話や電子機器類のアラームとも少々異なる音でしたので、
上演中、ホールスタッフ、舞台監督以下全スタッフですぐに共有8し調査をしておりましたが、
すぐに音を止めることができずご迷惑をおかけしました。
結果としましては、持病をお持ちのお客様が使用されていた酸素ボンベの警告音だということがわかりました。
ご使用のお客様は高齢の方だったようで、ご本人も音にお気づきではなかったようです。

ホールや舞台スタッフとしましても、これまでに経験のない例でございまして、
音の原因をつきとめるまでに時間がかかり、誠に申し訳ありませんでした。
今後は、このようなケースもあることを充分に理解し、
スタッフ一同で今回の経験を共有して参る所存でございます。
何卒ご理解いただければ幸いに存じます。

「さまよえるオランダ人」(2016年3月19日)

東条さんの「日記」でびわ湖ホール2公演の評論を拝読したことをきっかけに3月19日の公演を当日券で鑑賞。最新のプロジェクションマッピングによる美術という点が関心事項でした。
改装東京駅への投影で一気に有名になったプロジェクションマッピングですが、オペラの世界ではMETライブビューイング「青ひげ公の城」で観て驚嘆。その後、二期会「魔笛」、英国ロイヤルオペラ来日公演「ドン・ジョヴァンニ」を観ていたので、今回の公演に関心を持ちました。
感銘を受ける映像表現という視点で順番をつけると個人的には「青ひげ公の城」「魔笛」「さまよえるオランダ人」「ドン・ジョヴァンニ」という順でした。
いずれにしても、今後もさまざまな形でオペラと映像表現の融合の可能性が探られることを期待します。新技術が新しい可能性を拓いてくれるという例だと思います。

座席は2階1列目40番台を選びましたが、「海」を感じるために1階席を買うべきであったと反省。
既にこのサイトで話題となり原因も判明したピーピー音ですが、ずっと気になり(さらに、「いつ鳴るか」と思うと鳴っていないのに鳴っているように感じたりして)集中できなかったのは残念でした。
幕切れの2階席中央からのフライング的拍手もやや残念。

この演奏会のシリーズ、先生も含みを持たせて書いておいでですが、オケによりかなり印象が異なると思われます。
「違い」を楽しむ、また互いの競争原理に期待--ということもあるかもしれませんが、その「差」はかなり大きいのが現状だと思われます。タンホイザーやオテロではその差はかなり深刻。
リングがこれからあるそうですが、京響を一度出張させてみてもらいたいものです。

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