2017-03

2016・2・27(土)山田和樹指揮日本フィルのマーラー・ツィクルス5

      オーチャードホール  3時

 武満徹の「ア・ストリング・アラウンド・オータム」(ヴィオラのソロは赤坂智子)と、マーラーの「交響曲第5番」。日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスターは木野雅之。

 3年がかりのシリーズの、今年の分の3回(4~6番)は「深化」と題されているが、この言葉がマーラーの交響曲自体を指すのか、山田和樹&日本フィルの演奏を指すのかは別として、とにかく昨年の3曲における演奏に比べ、今年のこれまでの2曲の演奏が格段に「深化」していることはたしかだ。

 もちろん、昨年の「第2番《復活》」は見事な演奏(エクストンから当日のライヴのCDが出ている━━OVCL00592)には違いなかったけれども、概してあの頃の演奏には、いかにも緊張でかちかちになったような雰囲気があったのである。マーラーの交響曲など、日本フィルはこれまでにも小林研一郎の指揮で盛んに演奏していたはずなのに、相手がヤマカズとなると何故あんなに緊張するのかと訝り、聴いているわれわれまでが肩が凝ってしまったほどであった。
 幸いにも今年のステージからは、そんな怖ろしいステージの雰囲気も消え去っている。先月の「4番」は極めて美しく、そして今日の「5番」は実にしなやかで豊麗で瑞々しい演奏になっていたのである。

 昨日チョン・ミョンフン指揮東京フィルの演奏する同じ「5番」を聴いたばかりだし、ただでさえ私はこの「5番」は些か食傷気味で、仕事とはいえ2日続けて聴くのは少々気が重かったのだが、いったん演奏が始まればそんなことはどこへやら、トランペットとホルンの爽快な高鳴り、トロンボーンの並外れたパワーの咆哮(これがいかにも日本フィルらしい)、近年の日本フィルが備え始めた豊麗で厚みのある弦の響き、といったものに魅了されて行った。
 何より、山田和樹の若々しいアプローチが、青春賛歌とでもいうべき「第5交響曲」を感じさせ、昨夜の別のオケの演奏とは別種の魅惑の世界をつくり上げていたのである。

 この路線、この調子で行けば、大丈夫だろう。来月の「第6番《悲劇的》」へどうぞ進んで下さい。

 武満の「ア・ストリング・アラウンド・オータム」は、赤坂智子のソロを含め、隈取りのはっきりした構築で演奏された。といって、欧米の指揮者が武満作品に施すようなメリハリの強い構築のスタイルとは、やはり違いがある。それにしても、この武満トーンの、何と夢見るような美しさ! 日本の純音楽だな、という懐かしい陶酔感に引き込まれる。
     別稿 モーストリー・クラシック5月号 公演Reviews

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://concertdiary.blog118.fc2.com/tb.php/2373-b7fc455c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

カテゴリー

全記事表示

全ての記事を表示する

RSSフィード

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」