2008-09

6・26(木)マッシモ・ザネッティ指揮NHK交響楽団

  サントリーホール

 リサ・ラルソンをサポートしたモーツァルトとR・シュトラウスの歌曲では、ザネッティはいかにもオペラを得意とする指揮者らしく、オーケストラを巧く抑制して歌を浮き出させる。シュトラウスの3曲では、大編成のオーケストラを見事に抑えて、最弱奏をもふわりと響かせるように音を創った。それでも彼女のソット・ヴォーチェを立てるほどには行かなかったものの、これ以上は如何ともし難いだろう。

 モーツァルトは、最初の「コジ」序曲から軽やかだ。歌曲では、いずれも歌が終ってからの後奏を実に巧く作る。「K.582」の後奏など、ハッとさせられるような伸びやかさだったし、「東方から来た3博士」でも長い後奏をしんみりと歌う。アンコールでの「献呈」でもそこはかとない叙情感を出していて、ここではかなり誇張された遅いテンポになっている。

 あたかもこのテンポが休憩後の「ツァラトゥストラはかく語りき」の伏線となっていたかのよう。とにかくこの「ツァラ」のテンポの遅いこと。「クレド」や「科学について」の個所など、音量をギリギリまで抑制し、しかも極度にテンポを落す。それはそれで一つの手法だが、音楽に緊張感が失われるのが欠点で、聴いているこちらは道を見失ってしまいそうになる。細部に凝り過ぎるのも問題だろうが、身振りから想像すると、かれはあれ以上にもっと瞬間的に音量を抑制する方法を採って、デュナミークの頻繁な変化を求めたかったのではないかと思う。少々疲れる演奏だ。

 リサ・ラルソンは、以前にもツェルリーナを聴いたが、軽やかで美しい声だ。それゆえモーツァルトの方に良さが出る。その代わり、「大いなる魂と高貴な心は」後半のようにオンナの怒りを描くくだりなどでも可愛い表情にとどまってしまう。

   音楽の友9月号演奏会評

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