2017-06

2016・1・30(土)山田和樹指揮日本フィルのマーラー・ツィクルス4

      オーチャードホール  3時

 山田和樹が日本フィルハーモニー交響楽団と組んでのマーラー交響曲ツィクルス。第2期「深化」の第1回は「交響曲第4番」。前半に組み合わせている武満徹の作品は、今日は「系図」である。

 「系図」では、2000年生れという若い上白石萌歌がナレーターに起用された。これは山田和樹自身による人選だという。作曲者も「ナレーターには10代の少女が望ましい」と言っていたそうだ。
 ぴったりである。少女が少女っぽい口調で、何の衒いも芝居気もなく、ただ率直に思いをこめて淡々と語るその語り口の、なんと素晴らしく、この作品の内容と音楽とに完璧に合致していることだろう。今回の人選は大成功だ。

 彼女はこのナレーションを暗譜でやってのけたが、これも若者らしくて立派である。山田和樹と日本フィルも、この甘美なオーケストラのパートを、過度な思い入れを行なわずに自然に演奏、美しさを出していた。日本人指揮者によるタケミツの音楽には、やはり独特の素晴らしさがある。

 その自然な演奏がマーラーの「第4交響曲」にも引き継がれたのは、実に順当なことといえるだろう。
 今回のツィクルスでは、武満とマーラーとの作品を、それぞれ共通するイメージにより選曲されており、しかも演奏にもそれが適切に反映されていることが多い。今日のプログラミングと演奏内容においても、それは実現されていたと思う。

 とにかくこのマーラーは、神経質な気分の振幅よりも、快い美しさが浮き彫りにされていた演奏という印象だ。
 日本フィル(コンサートマスターは扇谷泰朋)の演奏も、しなやかで瑞々しい。昨年の第1期での緊張しすぎた演奏とは打って変わった出来を示していたのは祝着であった。

 しかも、第4楽章でソプラノ・ソロを務めた小林沙羅が、これまた衒いのない、この上なく爽やかで純な歌唱だったのである。
 それは、「この2曲に共通するテーマは『子ども』である」(山田、プレトーク)というコンセプトにもぴったりだった。つまり、「系図」での語りと、「4番」での声楽は、見事に呼応し合っていたのである・・・・。

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