2017-03

2016・1・18(月)ピエタリ・インキネン指揮プラハ交響楽団

     サントリーホール  7時

 インキネンは昨年秋に、このプラハ響の首席指揮者に就任したばかり。したがって、このコンビでの来日は、これが最初になる。
 プログラムは、シベリウスの「フィンランディア」、メンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」、ベートーヴェンの「交響曲第7番」。オケのアンコールはドヴォルジャークの「スラヴ舞曲作品72の2」とブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」。━━相も変わらず名曲ばかりである。

 「フィンランディア」は、さすがインキネンの堂に入った指揮で、デュナーミクの起伏の大きな、豪壮な演奏となった。一方、メンデルスゾーンとベートーヴェンは、いずれも整然とまとめた演奏である。
 オーケストラには、チェロの良きローカルな特色が今なお残っており、それはヒューマンな味と温かさを感じさせる。総じて、弦を基盤とした厚みのある響きで、確固とした構築でまとめられた演奏だ。力強いが柔らかく瑞々しく弦を中心に語られる音楽の構築も明快、オーケストラのバランスと音楽全体の流れも極めて良い。
 特に「第7交響曲」は、当節の演奏としては極めて正統的な、正面から取り組んだ均衡豊かな演奏になっていた。

 メンデルスゾーンの協奏曲を弾いたのは成田達輝である。全曲を通じて、よくいえば屈託ない、この曲の軽快な要素を普通以上に浮き彫りにした演奏とでもいえようか。だが反面、音符の一つ一つに対し何の意味をも考えずに、ただ飛び跳ねるように、初めから終りまで軽快に愉しく、しかも格好をつけて弾く、といった演奏でもあって、これはしかし、あまりに皮相的な演奏に過ぎはしないか? 
 西欧人でない演奏家が、西欧の作品から新しい何かを引き出すために実験的試みを加えること自体は大いに結構だ。が、この演奏を聴く限り、どうみても、考え抜かれた音楽づくりという印象は得られないのである。結果として彼の解釈は、この協奏曲を天下泰平でポップな、しかも単調な音楽にしてしまったとしか言いようがないだろう。

 なお彼は、アンコールにはバッハとパガニーニを弾いたが、ゲスト・ソリストがアンコールを2曲もやる必要はない。しかも自分のリサイタルでもないのに、アンコールを弾く前に「今日はお足元の悪い中を・・・・」などとスピーチをやるのは、全く余計なことである。
    別稿 音楽の友3月号 演奏会評

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