2017-07

2016・1・16(土)トゥガン・ソヒエフ指揮NHK交響楽団

    NHKホール  3時

 トゥガン・ソヒエフ━━当節トップグループの若手指揮者たちの中では、最も来日頻度の高い指揮者だろう。N響にはこれが3度目の客演か。相性も良いらしい。
 今日はCプロの2日目で、ブラームスの「二重協奏曲」(ソロはヴァイオリンのフォルクハルト・シュトイデおよびチェロのペーテル・ソモダリ)と、ベルリオーズの「幻想交響曲」。コンサートマスターは伊藤亮太郎。

 ブラームスの冒頭の全合奏が開始された瞬間の、弦を中心としたその音色の開放的な艶やかさに心を惹かれる。N響がよく出す、あのくすんだ重い響きが、ここでは一掃されてしまっていた。こういう生気にあふれた音なら、このNHKホールのアコースティックの中でも、充分愉しめるというものである。ウィーン・フィルの楽員2人によるソロの音色ともよく合う。
 このブラームス、なかなか魅力的な演奏だった。

 「幻想交響曲」のほうは、ソヒエフ得意のフランス音楽ゆえ、もう少し自由奔放に演奏をつくるかと思ったのだが、予想外なほどシリアスにがっしりと構築されていて、非常に厳しい顔つきのベルリオーズという印象になっていた。
 やはりフランスのオーケストラ(トゥールーズ)相手のようには行かぬらしく、むしろ先頃一緒に日本公演を行なったベルリン・ドイツ響との演奏スタイルに近くなっていたのだが、これも、相手のオーケストラのカラーを生かした表現を採ろうという彼の狙いゆえだろう。

 極めて立派な音楽づくりではあったが、この狂気じみたストーリーを持つ交響曲の演奏としては、少しく異色のものだったかもしれない。

コメント

ソヒエフ賛

初日を聴きました。
前回のN響B定期以来のソヒエフN響再登場。この間に、トゥールーズ、ベルリンドイツ響と4公演を続けて聴き、その力量の確かさを思い知らされてきました。

今回の「幻想」は、同じホール、同じオケを振ってのパーヴォ・ヤルヴィとの競演という位置付けになったこともあり、その面での興味もありました。率直に申してパーヴォと格の違いを見せつけた「幻想」でした。当然ではありますが。特に第3楽章の表現は、嘗て無いくらいに作品の本質を深く抉るもので、終始驚くばかりでした。

ソヒエフは巧まずにオケを"その気"にさせる魔術師のような才能を持っています。「幻想」でもソヒエフが"スイッチ"を入れると、N響の各奏者や各パートが我も我もと全力で競い出し、作品の表現に必死で挑むのです。手を抜いたら自分のパートだけがすぐに目立ってしまいますし。前回B定期での「チャイ5」と同様に。

例えば第3楽章など、音楽は俄にダイナミックな動きが迸り、音楽が立体的に構築されるのでした。他の楽章では比較的容易でも、第3楽章では滅多に聴くことができないことです。真に「音楽が躍り出す」のでした。

残念だったのは初日のブラームス。
ソヒエフの指揮はメリハリの利いたダイナミックでシンフォニックな表現のものでした。ベルリンドイツ響も斯くやと思う程に。チェロソロもそれに準じた表現。一方ヴァイオリニストが相対的にお上品と云うか、表現力が弱く、ソヒエフがVnに向きを変えて鼓舞するようなジェスチャーを送ったほど。終楽章ではそれに起因するアンサンブルの乱れが一瞬ありました。二日目ではソヒエフが表現をヴァイオリニストに合わせて修正したのでしょうか。東条先生の記述からはそう読み取れました。

いずれにしても、またしてもソヒエフに感服し、普段のNHKホールで聴くN響よりも一段高い姿に接したC定期でした。

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