2017-11

2015・11・29(日)オッコ・カム指揮ラハティ響のシベリウス(終)

      東京オペラシティ コンサートホール  3時
 
最終日。交響曲の「5番」「6番」「7番」。

 ホールはまさに立錐の余地もないほどに満席。当日売りは1枚もなかったという話である。客席には、ヴァンスカをはじめ、フィンランドの関係者も非常に多く見られた。現地の「ラハティ響友の会」なるメンバーも何人か来ていたようである(ロビーでにこやかにグッズを販売していた)。

 今日の演奏の雰囲気は、前2回とは、ガラリ違う。素朴さとか、民族主義的なアプローチとか、そういうものはほとんど前面に現われず、非常に密度の濃い響きで、壮大な気宇に満ちた音楽になっていた。これはすでに前回の「4番」の時にも示されたものだったが、シベリウスの作風が大きく転換したことに即して、アプローチのスタイルをも、忠実にそれに合わせたということだろう。

 「5番」の第1楽章終結個所や、同終楽章最後での巨人的な歩みの豪壮さは、このオーケストラが日本で初めて聴かせた凄さではなかったか。
 「7番」も、あるスタイルの指揮者でよく聞くような「白夜的な清澄さ」だとか「円熟の達観した作風」などといったような雰囲気の演奏とは全く異なり、清澄ではあるけれども重厚で、強靭な構築と密度を備えた交響曲というイメージを感じさせた。終結部のみならず、随所に聞かれる大波のような昂揚も、さすがのものである。

 「6番」は、曲の性格からしてそう重厚な演奏にはならないけれども、それでもスケルツァンドな性格などは一切排された、シリアスなイメージのものに構築されていた。
 もっとも、この3曲におけるこれらの演奏の特徴は、彼らのCD(BIS3枚組 2076)でも充分に聴かれていたものだったが。

 ラハティ響の、自然体の良さは、この日の演奏にもあふれていた。日を追って次第に調子を上げて来たのではないか、とある知人が語っていたが━━それはそうかもしれないが、しかしそれは、やはり彼らの演奏の中に、シベリウスの作品の性格の変遷そのものが如実に反映されて来ていたためではないか、という気もするのである。

 アンコールは、今日も3曲。最初は予想通りの「アンダンテ・フェスティーヴォ」。ここでのカムは、常よりも強弱の変化を綿密に付していた。それまでの各作品におけるアプローチと比較すると、若干の違和感が抱かされたのは確かだが、曲に起伏感が生まれていたことは間違いない。
 2曲目は、「ある情景のための音楽」。

 そして、彼らがそれまでに示して来たサービスぶりから、これはもしかしたら本当に「フィンランディア」を最後にやる気なのじゃあないのか、と、本プロの最中から予感していたのだが・・・・案の定。
 カムは、「この曲だけは曲名を言わなくてもみなさん分かるだろう」とばかり、指揮台の椅子に座るやいなや、いきなり指揮棒を振り出した。
 演奏は、まさに堂々としていた。曲の最後に高鳴るあの有名な主題、またそれに続く終止和音が、まるでこの3日間、熱心に聴いた日本の聴衆へ贈る感謝の挨拶と別れの歓呼のように聞こえてしまい、思わずジンとなってしまったのである。
 選曲の巧さ、演出の巧さ。たいしたものである。

 カーテンコールが、指揮者だけでなくオーケストラに対してもこれだけ長く続いたコンサートは、稀だろう。
           →モーストリー・クラシック2月号 公演Reviews

コメント

 今回のチクルスは実演に接することの少ない3,4,6番等をまとめて聴くことができ、満足度120%でした。骨太の語り口を基調に、繊細な味わいにも事欠かず、武骨な金管、落ち着いた音色の木管等印象的でした。3日目は後半になってオケの調子が上がり、7番は圧巻の一言でした。
 特筆すべきは良心的な価格設定です。3公演すべてほぼ満席となったのも当然でしょう。このチクルスの主催者に感謝したいと思います。
 本題から逸れますが、来年のBPO来日公演の価格設定には驚きました。需要と供給の関係と言ってしまえばそればでですが、バレンボイム・SKBのほぼ1.5倍の価格となっています。

アンコール

私も東條さんと同じく、4日連続シベリウス漬けを堪能しました。
3日目はステージ上に大太鼓・シンバル・トライアングルが最初からセットされていたので、「ああ、これは最後にあの曲をやる気だな」と予想していたら、アンコールにチューバ奏者も現れ、期待通りの展開になりました。

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