2017-07

2015・11・26(木)オッコ・カム指揮ラハティ響のシベリウス(1)

     東京オペラシティ コンサートホール  7時

 「生誕150年記念 シベリウス交響曲サイクル」と題された、東京オペラシティ文化財団主催の3回シリーズの初日。交響曲の「第1番」と「第2番」がそのプログラム。

 ラハティ交響楽団を聴くのは、オスモ・ヴァンスカとの来日以来になる。現・芸術監督兼首席指揮者のオッコ・カムが、どのような音楽をこのオーケストラから引き出すか━━彼らのシベリウスの交響曲全集CDはすでに全曲を聴いたが、やはりナマで一度聴いてみないと、その真価は解り難いだろうと思い、楽しみに待ち構えていた次第だ。

 初日の演奏、素晴らしい。小ぶりながら強靭な意志の持主、といったイメージを感じさせるオーケストラである。一見、素朴で野暮ったいけれど、純粋で真摯な語り口が高貴さを感じさせる、と言ったらいいか。昔、ヴァンスカの指揮の時にも、その素朴で滋味豊かな音楽性に感動したが、今回も同様であった。

 たとえば「第2番」の第3楽章における、2度目の「レント」の個所━━ファゴットとホルンのハーモニーの上に、オーボエとフルートが交錯して響かせる主題が、ふだん聴いている彫琢されたバランスの演奏と違って、ラハティ響の素朴な響きゆえに、まるで民謡か何かのような美しさと温かさで心に迫って来る。飾らぬ美しさ、とはこういうのを謂うのだろう。これを聴くと、小奇麗に化粧された音のバランスなど、いかに無益なものであるかという気さえ起って来る。

 第4楽章で弦楽器群がいっせいに歌う第1主題にしても、管楽器群のハーモニーとの対比がこんなに美しいものだったかを、改めて感じさせてくれる。聴き慣れた、いや聞き飽きた感のあるこの主題がこんなに新鮮に、素朴に、ヒューマンな民謡のように聞こえたのは、初めてかもしれない。
 何十年ぶりかで、この曲を最初に聴いた頃の陶酔が蘇って来た。曖昧で感覚的な言い方になるけれども、とにかく、何だか、何もかもが、すごくいいのである。

 アンコールは、「テンペスト」からの「ミランダ」と、「行列 JS54」と、「ペレアスとメリザンド」からの「間奏曲」の3曲。どれもラハティ響がヴァンスカの指揮でCDにいれていたものばかりだ。
 カムは、演奏前に客席を振り返って曲名を言ってくれるのだが、それが非常に解り難い声と発音なので、「ミランダ」など、会場の人の大部分には「フィンランディア」と聞こえたのではなかろうか。大拍手と歓声まで上がったのがその証拠だ。実は私にも一瞬そう聞こえた。ところが、いざ始まってみたら全く違った静かな曲だったので、客席は拍子抜け。終ったら気抜けしたような(?)拍手が、それでも盛大に起こったというわけである。ラハティ響のメンバーも、日本では「テンペスト」の音楽がそんなに人気があるのか、と驚いたのではなかろうか。

 終演は9時半近くになった。このツィクルスは実に楽しみである。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://concertdiary.blog118.fc2.com/tb.php/2317-3b6b84ee
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

カテゴリー

全記事表示

全ての記事を表示する

RSSフィード

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」