2017-11

2015・11・19(木)フランクフルト放送交響楽団

      東京芸術劇場 コンサートホール  7時

 前半は昨夜と同じくグリンカとチャイコフスキーだが、後半はブラームスの「交響曲第1番」。アリス=紗良・オットのアンコールはグリーグの「小妖精」、オケのアンコールはまた昨夜と同じ「ハンガリー舞曲第6番」。

 ホールが異なれば、響く音も違い、オーケストラの特徴も━━根本的にではないにしても━━違って聞こえる。
 こちら東京芸術劇場の2階席正面中央近辺で聴くと、昨夜のサントリーホールでは柔らかく豊麗に聞こえた弦などの音色が、かなり引き締まってリアルに、生々しく響く。そうなると、演奏にも毅然とした表情が強く浮かび上がって来る。オーケストラのみならず、指揮者がつくる音楽の特徴にも、やや硬質な切れ味のよさ、といった性格も感じられるようになるだろう。
 それに、どちらのホールでも、席の位置によってまた印象が変わる。そこが面白いところだ。どれが正しいという問題ではない

 「ルスランとリュドミラ」序曲は、昨夜の演奏よりもさらに几帳面に聞こえたが、これはサントリーホールでのアコースティックの、少し「色づけされた」響きによるものの方が、まだ少しは面白かったかもしれない・・・・。

 「ピアノ協奏曲第1番」は、ホールの響き云々は別にしても、今夜の方がさらに瑞々しく、活力と精妙さとが見事に解け合った演奏に聞こえた。
 私は実はこの曲はあまり好きではないのだが、それにもかかわらず、特に第2楽章は美しい歌に満ちているようで、聴いていて非常に快かったのである。それは、アンドレス・オロスコ=エストラーダの豊かなカンタービレが十全に生きて、この楽章が持つ美しい叙情性を呼び覚ましたからでもあろうし、またアリス=紗良の演奏が、爽快な明るさ、屈託のないチャイコフスキー像の生成、といったような性格を備えていたからでもあろう。

 そして、ブラームスの「第1交響曲」。ドイツのオーケストラが抱く同国の作曲家への共感と、指揮者の若い個性が、程よく合致した演奏だったというべきか。重くはないが落ち着いた響きの裡に、弾むようなティンパニの歯切れのいいリズムが加味されて、誠実な演奏に仕上げられていた。
 スコアにはない強弱の変化もかなり加えられていたが、さほど作為的なものを感じさせなかったのは、テンポ感のよさのゆえか。

 この指揮者とオーケストラのコンビ、今回初めて聴いたわけだが、予想していたよりはいい線を行っているようである。ただし、音楽の深みは━━すべてこれからだ。

コメント

私は17日のサントリーホール公演を聴きました。奏者の登場後、パリ同時多発テロの犠牲者に黙祷が捧げられ(奏者が起立状態だった以上、聴衆にも任意での起立を促してもよかったかもと思う)ピリッとした空気の中、派手な「キャンディード」序曲。ドイツのオーケストラが演奏する重厚なアメリカ音楽、いいじゃないですか!私はこの僅か5分の序曲が聴きたくてこの日を選びました。ちょっとケルン放送響が演奏したルロイ・アンダーソンのCDを思い出しました(P・スタインバーグ指揮)。指揮者のリズム感覚がいいので重厚でも鈍重にはならない、絶妙です。 五嶋龍の弾くチャイ・コン、基本的に7ぐらいのテンションで慈しむように弾き、ここぞという所でマックスに盛り上げる。決して独り善がりになることなく(カデンツァでは逆に2、3歩前に出て美技を披露)オケの音をよく聴いている。オロスコ=エストラーダも丹念に好サポート(この人も合わせモノがうまい!)。第2楽章が完全にエレジーになっていて仰天しました。テロの犠牲者への追悼曲として演奏したのでしょうか?シベリウスの「トゥオネラの白鳥」のようなゾッとするような静けさ・・・これは凄い。 〔余談ですが、東条さんがいつも座ってらっしゃる2階正面の1列目、この日は年配の女性がいらっしゃいました(隣も仲間?どちらもおそらく招待でしょう?)。第2楽章の最中、飴の包みを開ける音を盛大に響かせ顰蹙を買っていましたよ。この世にたった一人残されてヴァイオリンを弾いているような静謐な音楽の最中に・・・まったくどこまでKYなんだ〕 (そういえば最前列バナナオヤジの姿が見えないが、まさか黙祷の最中に着席したのか?) ブラ1、ベルリン・ドイツ響で聴いたばかりでしたので聴きくらべが楽しみでした。期待通り両者は全く違いました。ソヒエフはどちらかといえば古い時代を踏襲したかのような正統派スタイルだったのに対し、オロスコ=エストラーダのスタイルはずっと現代的でスマート、冒頭からテンポは速めで清々しいくらいでした。ティンパニも軽いバチを使っていましたし意図的に軽い響きを作ろうとしているのは明白。予想通り第1楽章提示部は繰り返した。 ここまででも充分オロスコ=エストラーダの多才さに驚いているのに、本当のビックリはこれからでした。アンコールのハンガリー舞曲第6番!シュトラウス(リヒャルトじゃなくて)みたいに聞こえたの私だけ?煌びやかで甘美な響きに恍惚とさせられました。 終演後、近くに座っていた中年の男女が「この指揮者凄いね!!」と大興奮していました。わかるぜ、その気持ち!最近、この人をはじめ若手指揮者の充実ぶりが凄い。この先、どんなふうに進化していくのか・・・彼等の将来が今から本当に楽しみです。

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