2017-06

2015・11・18(水)METライブビューイング ヴェルディ:「オテロ」

     東劇  2時

 去る10月17日のMETにおける上演のライヴ映像。今シーズンの新制作プロダクションによる「オテロ」。

 新演出はバートレット・シャー(シェア)。以前のモシンスキーによるトラディショナルな舞台とは違い、かなり「今風」のものになっている。
 中間の2つの幕では、いくつかのガラスの建物(演出者は「ガラスの牢獄」と表現)を縦横に動かす手法が採られていて、これは特に第3幕、イヤーゴとカッシオの「内緒話」を聞き取ろうと必死に追いすがりながら果たせないオテロの焦りを描く場面で、巧みな効果を発揮していた(舞台美術はエス・デヴリン)。
 冒頭の「嵐の場面」と「オテロの凱旋」ではまるでセミステージのような群衆の配置だったので、まさかこの調子でずっと・・・・?と不安になったが、喧嘩の場面あたりからは、ダイナミックかつ微細な演技と舞台が繰り広げられて行った。

 ヤニック・ネゼ=セガンの指揮が素晴らしい。
 「嵐の場面」では不思議に抑制した演奏になっているので、もしや叙情性を基本にした音楽的解釈なのかなと思ったが━━もちろん叙情的な個所では良いカンタービレをつくり出してくれたが━━ネゼ=セガンはむしろ、そのような外面的なスペクタクル性ではなく、オテロの心理的な「嵐」の表現に重点を置いていたのではないかと思われる。その証拠に、第3幕では、オテロの苦悩と絶望を中心とする大アンサンブルにおいて、この上なくドラマティックな、激情的な演奏をつくり出していた。いい指揮者だ。

 オテロは、アレクサンドルス・アントネンコ。歌唱力は文句なし。顔つきにちょっと愛嬌があるので、あまり凄みはないが、幕切れの「オテロの死」では見事に英雄的な表情の演技を見せた。この場面一つとっても、彼が現代屈指のオテロ歌手であることが証明されたであろう。

 デズデーモナはソニア・ヨンチェーヴァ。歌唱力も演技も素晴らしく、特に第4幕の「柳の歌」での演技は卓越していた。イヤーゴのジェリコ・ルチッチも、落ち着いた風貌と挙止の裡に悪役ぶりを垣間見せ、これも良かった。他に、カッシオをディミトリー・ピタス。

 今日は、平日午後の上映。お客さんが随分入っている。夜よりも昼間は、主婦のお客さんが来やすいのだとか。

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