2017-10

2015・11・13(金)グスターヴォ・ヒメノ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

    サントリーホール 7時

 今回の来日ツアー最終公演。プログラムはチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第2番」と、リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」だったが、アンコールが多く、終演は9時40分になった。

 ユジャ・ワンが弾いたのは、シューベルト~リスト編「糸を紡ぐグレートヒェン」、ヴィンセント・ユーマンス~アート・テイタム編「2人でお茶を」、モーツァルト~ヴォロドス~サイ~ユジャ・ワン編「トルコ行進曲」、グルックの「メロディ」。
 一方、オーケストラのアンコールは、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲と、リゲティの「ルーマニア協奏曲(コンチェルト・ロマネスク)」の第4楽章。

 ユジャ・ワンの演奏は、もちろん昨夜と同様、この曲の一種の「躁」的な特徴を爽快なスタイルで表出したものだが、今日の方が、安定度においてはやや上回っていたかもしれない。とにかく、気持のいいほど、若々しい活力を漲らせた演奏である。
 ただしアンコールは━━選曲そのものは実に多彩だったけれども、オーケストラ演奏会でソロ・アンコールを4曲も弾くのは、いくら何でもやり過ぎだ。コンマスがなかなか席を立とうとしないから拍手も延々と続き、彼女も何度も出て来て答礼し、結局「もう1曲弾く」ことになる。とにかく、このアンコールのパートだけで、20分もの時間を要した。

 ヒメノの指揮は、協奏曲では、昨夜は何か無茶苦茶に煽り立てていたような感があったが、今日は少し落ち着いたか。だが総じて彼は、オーケストラの音を彫琢し、声部のバランスを精密につくり上げるテクニックには、まだ不足しているようである。
 また「シェエラザード」では、オケの仲間━━たとえばクラリネットやオーボエの1番奏者がソロを繰り広げる際に、その名人芸を親し気に盛り立てることが先行して、作品全体のバランス構築や劇的展開の呼吸を整えることが二の次になっていた感もあった。それにこの「シェラザード」という作品は、もっと幻想味なり、色彩感なりが全篇に備わっていないと、本来の良さが出て来ないのである。

 いずれにせよ、今回のコンセルトヘボウ管の演奏には、ごくわずかな個所を除いて、われわれが昔からこのオケのイメージとして抱いていたような、しっとりした美音は聞かれなかった。この名門オケでさえ、指揮者によっては「並みのオーケストラ」に一変してしまうという見本か。
 アムステルダムでのルーティンの演奏会でなら、こういう若手が起用されての演奏を聴くのも大いに楽しい。が、われわれが日本でこのオケを聴くとなると、それはやはりスペシャルな機会なのであり、したがって、欧州3大オーケストラの一つにふさわしい、常勝将軍的な演奏を期待してしまう傾向があるだろう。そこが難しいところだ。
         ⇒別稿 音楽の友新年号 演奏会評

コメント

シェフ交替の微妙な時期だったこともあり指揮者はヒメノ!最初に告知を見た時はわが目を疑いましたよ。生でもCDでも聴いたことがありませんでしたので楽しみにしておりました。次から暫らくはガッティになるのでしょうからこれはかなりレアな体験です。たまにシェフ以外の指揮者で聴くというのも嬉しい。同じ若手なら個人的には相性の良さそうなネルソンスで聴いてみたかったとも思いましたが・・・。でヒメノ、日本ではほとんど無名の指揮者ですがチケットはまさかの完売でしたね。まぁ、F電機と大使館絡みの人達が多かったみたいですがね。普段あまりクラシック音楽など聴かない人達だというのは雰囲気でもわかります。そのせいなのかどうか、環境は最悪でした。私は1階のほぼ中央に座っていましたがあちらこちらからガサガサ、ヒソヒソ、パラパラ、クチャクチャ、ゲホゲホ・・・・。フィンランド放送響の11/2の奇跡を体験した直後だっただけにかなり気になりました。中でも1階上手側では最初っから最後まで馬鹿みたいに大きな咳を連発させている者までいましたね。体調が悪いならこんなトコ来ないで家で寝ていろよ。いい大人がみっともないぜ!(近くの客で文句を言う人はいなかったのでしょうか?)あなた達みたいのが席を無駄に占領するから本当に聴きたい人達がチケットを買えなくなるんだよ!(当日券売場の前にはキャンセル待ちの列が数名・・・無事に買えただろうか?) 演奏が美しかったのがせめてもの救いでした。特にチャイコのピアノ協奏曲、海外オケの来日公演では大変珍しい2番が聴けたのは本当によかった!ユジャ・ワンでは以前、サンフランシスコ響との来日時にショスタコの2番が予定されていたのにパガニーニ狂詩曲に変更されたことがあったので(これも主催絡み?好きな曲だけれど)今回も直前になって1番に変更になったりするんじゃないかと心配させられました。その2番、第2楽章に関してだけ言えば私的には1番より遥かに勝れていると思います。この楽章があるために1番より2番の方が好きという人もいるのではないでしょうか?その第2楽章の演奏が格段に美しかった。まさにこの夜全体の白眉でした。このオケがこうゆうロマンチックな曲を演奏すると何とも言えない枯れた哀愁が漂う、本当にいいオーケストラだと思う。ユジャ・ワンも“主役は私ではございません”とばかりにヴァイオリンとチェロのソロを引き立てオーケストラの中に溶け込むようなデリケートな演奏をしてくれていました。 チャイ・コンとシェエラザードだけでは時間が余るだろ・・・と思っていたらアンコールを4曲も!!小リサイタル状態でしたね。それぞれ性格の異なる曲で楽しませてもらいました。全曲編曲モノでかためていたのも面白かったです。ただ、トルコ行進曲で何故笑いが起こるのかは皆目理解できません、その後も暫らくの間ヒソヒソ、ザワザワ・・・やはりクラシック音楽には疎い人達なのでしょうか?ソリストは決してウケ狙いで選曲したわけではありませんし、演奏を聴いている人もいるのですからもっと緊張感を保つべきでしょう。 シェエラザードでは威圧的な音響は皆無、ひたすら柔和にキレイに纏めていたように感じました。アンコールでリゲティのカッコイイ、 ルーマニア協奏曲が聴けたのは超嬉しい!!ポピュラー名曲ばかりではなくこうゆうのももっとやってほしい! 今回のヒメノ、あまり評判はよろしくないようですが彼がコンセルトヘボウの打楽器奏者として入団したのが2001年、指揮者に転向してからは、まだほんの数年しか経っていません。私は彼の評価を決定するのは現時点ではまだ早いような気がします。今年からルクセンブルク・フィルの首席指揮者に就任することですし、もう暫らくは猶予を与えてあげてもいいんじゃないでしょうか?いつか手兵と来日した時に本当の真価が問われると思います。頑張れヒメノ!

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前の日の演奏会にコメントしたとおり、当日のざわざわした音は、大使館関係のオランダ人が多くの原因と私は理解しました。特に演奏中の周囲を気にしない咳など。極東に赴任中の彼ら・彼女らにとって、本国の最高オケの来日が、最大のイベントなのでしょう。そう言えば、今日も最前列にお出ましに。いやあ、時間とお金がありますね。
それで、チャイ2とシェヘラザード、ネットや国内オケ来演時の評判と違って、とてもよかったと思います。コンマスがクレバース時代のコンドラシン盤と比べるのは、ないものねだりです。それとも、この人、交響曲はそれほどでもないんでしょうかね。ユジャのアンコール4曲は、「爆買い」ならぬ「爆アンコ」でしょう。トルコ行進曲のざわめきも、アンコールの反応ならでは。デビューCDの国内盤ボーナス・トラックの演奏よりも、さらに「ぶっとんで」いました。
指揮者の能力っていろいろあって、客観的な指標にならないのだけど、人気商売、営業面としては、容姿や指揮姿というのも一つの重要要素。その点では、ヒメノ氏にもアドバンテージがあると見ました。人柄だって、よさそうだし。
ベルリン・ドイツ響が「フィガロ序曲」ばかりだったのと違って、アンコールは毎日2曲、いろいろやった点は、サービス精神でも評価したいところです。

確かに演奏中のヒソヒソ話は大概外国人か、もしくは年配の女性に多く見受けられます。私は海外でコンサートを聴いた経験は無いので実感がないのですが海外の演奏家達の間では日本の聴衆は相当お行儀がいいとのことですね(・・・そんないいイメージも最前列サスペンダーバナナオヤジを毎回見かけては崩れてしまうだろうが)。たとえばアメリカのオーケストラのライヴ録音なんかを聴くと客席ノイズがうるさいものが多いし、そんな所で何回か聴いてから帰国すればもっと大らかな気持ちで聴けるようになるのだろうか?

如月さんへ

あの開演前の長蛇の列は
KAJIMOTOが発売した「ワールドオーケストラシリーズ」
エコノミーチケット座席引き換えの順番待ちで
キャンセル待ちではありません。

あ、いや、いや、違う違う(笑)、それではなくて当日券売場の前の列・・・私が来た時、確かに3人並んでいました。招待客で来なかった人の分を販売すると貼り紙もありました。

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