2017-06

2015・11・8(日)ダニエル・ハーディング指揮新日本フィル

      サントリーホール  2時

 Music Partner of NJPのダニエル・ハーディングが指揮。
 前半に名トランペット奏者ホーカン・ハーデンベルガーを迎え、オーストラリアの作曲家ブレット・ディーン(1961年生れ)の「ドラマティス・ペルソネ」(13年)の日本初演。後半にはブルックナーの「第7交響曲」(コールス版、これが日本初演の由)。

 「ドラマティス・ペルソネ」は、解説によれば、3つの楽章はそれぞれ「スーパーヒーローの転落」「独白」「偶発的革命」と題され、ソロ・トランペットが各々のキャラクターを表現する形になっているとのこと。

 第1楽章最初の部分で内声部に現われる金管のパートが何となくメシアン的なので、この楽章はもしや彼への皮肉か・・・・などと早トチリしてしまったほどだが、とにかく分厚く細密で、しかも色彩的な管弦楽法が目立つ作品だ。ハーデンベルガーの多彩な演奏にはいつもながら感嘆のほかはないが、そのソロを囲むオーケストラ全体が極めて雄弁な性格を備えている。
 全曲最後に出現する騒々しい行進曲は、何ともアイロニーに富んで愉快である。最後を締めくくる「鞭の一打」(プログラム解説)は、下手側第1ヴァイオリンの前列最後尾の奏者2人により叩かれたが、もう少し強烈さが欲しいところではあった。

 ブルックナーの「7番」は、不勉強にして最新のコールス版のスコアを未だ見たことがないので詳細は分からないけれど、ハース版とノーヴァク版のみならず、所謂「改訂版」も等閑にしないという姿勢で校訂されたと聞く。
 第1楽章冒頭、第1主題が2度目に登場して確保される個所で、ホルンが一足先に入って来るのを聴けば、あの「改訂版」の存在はもう一目瞭然だ(魅力的ではあるが、これを「正規版」として出していいのかねえ、という気がしないでもない━━「改訂版」にはうさん臭さが付きまとうとの概念で長年聴いて来た者の性かもしれない)。

 その他、ふだん聴き慣れているものとは少し違うところもいくつかあったが、それがハーディングの解釈ゆえかどうかの判別は俄かにつき難く、全てはスコアを見てからのこと。

 この2曲におけるハーディングの指揮の冴えは、彼の近年の成長を物語るものではなかろうか。音楽のスケール、緊張力、複雑な声部の明晰な構築など、何か以前の彼にはなかったような圧倒的な力が加わって来た感じさえある。「ドラマティス・ペルソネ」の行進曲の個所といい、「7番」のコーダ最終個所といい、既に昂揚している音楽を、更にいっそうの力を加え、ぐいと引き上げるその牽引力も見事なものだ。
 今日の新日本フィルハーモニー交響楽団(コンサートマスター・崔文沫)も力感、質感ともに充実した好演。ハーディングとの呼吸も絶好調のよう。

コメント

ハーディングのブルックナー?と思いそうですが11/1日兵庫芸文ホールできいたドビッシー「ペレアスとメリザンド」組曲と「幻想交響曲」を聴いたので東条さんのお言葉うなずけます。
特に「幻想」は1楽章冒頭の弦の響が精妙でここのオケから聴いたことの無い音がしていました。4.5楽章はうって変わって大きな盛り上がりを見せてしめくくりました。
私見では何度も聞いた」幻想」のなかでも最上位に値する演奏でした。本人は冷静で団員、聴衆を熱くさせるスベを知ったのでしょうか。勿論秀でた才能の結果だと思いますが。

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