2017-03

2015・11・6(金)藤岡幸夫指揮東京シティ・フィル「二つの田園」

      東京オペラシティ コンサートホール  7時

 創立40周年を迎えている東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の11月定期。
 藤岡幸夫が客演、「二つの《田園》」を指揮した。ベートーヴェンの「交響曲第6番《田園》」と、ヴォーン・ウィリアムズの「交響曲第3番《田園交響曲》」の組み合わせである。面白いプログラミングだ。

 わが国では、エルガーの交響曲は━━もちろんそうたびたびではないが━━演奏される機会も少なくはない。だが同じ英国の大作曲家でも、ヴォーン・ウィリアムズの交響曲となると、果たして年に何回演奏されるか? 
 全部が全部面白い曲とは言えないかもしれないし、仮にどこかのオケがヴォーン・ウィリアムズの交響曲全9曲ツィクルスなんかをやったとして、果たしてお客さんが来るかどうかわからないけれども、せめそのうちのいくつか、もう少し演奏されてもよさそうなものだ。
 藤岡幸夫は、ヴォーン・ウィリアムズの交響曲が好きとのことで、関西フィルではいくつか取り上げたと聞くけれど、そうしばしば大阪まで聴きに行くこともできない━━。

 さて、今日の定期。前半の大ベートーヴェンの「田園」の方は、オケもふだん演奏し慣れているだろうし、あるいはそれが裏目に出たか、むしろちょっと荒っぽい感もあった。

 が、ヴォーン・ウィリアムズの方は、なかなか力の入った演奏だった。全4楽章を通じてプレストが出て来るのは第3楽章の一部のみで、その他は「マエストーゾ」や「レント」や「ペザンテ」といった指定ばかり。ベートーヴェンのそれとは「田園」のイメージが全く違い、むしろ憂いに満たされた光景の「田園」という色合いが強い。それは、作曲の経緯からいっても、当然のことだろう。

 藤岡は、その沈んだ美しさの「田園交響曲」を、その本来の曲想を充分に生かしつつ、やや剛直なタッチで指揮し、この作曲家のシンの強い作風を再現していたと思う。シティ・フィルも厚みのある音で好演、コンサートマスターの戸澤哲夫をはじめ、ヴィオラや木管、金管の1番奏者たちも力の入ったソロを聴かせてくれた(わずかな音外しは無視しよう)。
 ソプラノの半田美和子は、第4楽章のヴォカリーズを、3階席上手バルコニーで━━最初は客席内で歌い、終結のそれはドアの外で遠いエコーのように歌い、いずれも美しい効果を上げていた。

 客の入りは相変わらずだが、こういう良い企画のPRを繰り返し、良い演奏を続けて定期会員と当日売りを増やして行くほかはあるまい。

コメント

この曲は、展開、発展を拒否している。戦争体験を精神性に昇華させた稀有の曲である。その辺は、うまく捉えられていた。ベートーヴェンでは、どうなることかと思ったが。

V・ウィリアムズの田園交響曲!実演には滅多にお目にかかれない。次は何時になることやら・・・。指揮者はこの曲に起伏や盛り上がりを作ろうとしてくれてたようですね。一般の聴衆を意識してのことだと思いますが、若干強いかな・・・と。敢えて何もせずありのまま提示する方がこの曲独特の魅力が伝わるのではないかな・・・とも思いましたが、取り上げて下さったことに素直に感謝すべきですね。私はV・ウィリアムズの九つの交響曲はベートーヴェンのそれと同等に評価されてしかるべき魅力を持った名曲揃いだと思っています。6番以降は若干晦渋な曲もありますが1番から5番はどの曲もとても親しみ易い(私のオススメはなんといっても5番!)。CDでもアンドレ・プレヴィン、ブライデン・トムソンなど魅力的な全集録音があります(プレヴィンは2番を2回、5番をなんと3回も録音している!)。交響曲以外ではテューバ協奏曲が超名曲(来月、新日本フィルがやるよ!第2楽章が絶品!この不思議な浮遊感はこの楽器以外では絶対出せない)。この国(海外でも一緒か?)ではまだまだ軽く見られている感のある英国作曲家ですが藤岡をはじめ、尾高や大友あたりが熱心に取り上げて下さっているおかげで生で聴ける機会が最近増えつつあるのは嬉しい。私はV・ウィリアムズの交響曲全曲ツィクルスをやってくれるような勇気ある指揮者やオーケストラがいたら全国どこへでも飛んでいくかもしれない。

訂正

来月、V・ウィリアムズのテューバ協奏曲をやるのは新日本フィルではなく日本フィルでした。失礼致しました。

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