2017-10

2015・11・4(水)ハンヌ・リントゥ指揮フィンランド放送交響楽団

     サントリーホール  7時

 2013年8月からこのオケの首席指揮者の地位にあるというハンヌ・リントゥ。このコンビの公演は、東京では既に一昨日行われていたが、私が聴いたのは今日が最初である。
 今夜はシベリウス・プロの「名曲編」というべき、「フィンランディア」と、「ヴァイオリン協奏曲」(ソリストは諏訪内晶子)と、「交響曲第2番」。客席はほぼ満員だ。

 リントゥの指揮は、先日の新日本フィルとの演奏の時には、どちらかというと豪快に押しまくるという印象が強かったが、こちらフィンランド放送響の場合には、やはり普段から振り慣れているオケであるせいか、音楽の表情がさらに多彩になる。
 「フィンランディア」では、漸強と漸弱を、スコアで指定されていない個所にも多用し、特に後半のあの有名な主題ではテンポを落してロマンティックに歌い上げた。ただ、何か作為的な粘っこさを感じさせないこともない・・・・。

 協奏曲でも同様、非常に念入りに情感をこめた指揮だ。諏訪内晶子の演奏も、以前他の指揮者との協演で聴いた時には、もっと鋭い力で押して行くものだったように思えるのだが、今日のそれは、指揮者に合わせたのか? 少々持って回ったような演奏に感じられてしまう。それでも、瑞々しくも骨太でスケールの大きな彼女の演奏は、おとなの音楽を感じさせる。くっきりした構成感を失わないのが素晴らしい。

 しかし、リントゥの指揮も、「2番」では一転して、速めのテンポによる壮烈な演奏になった。
 そしてアンコールの「ベルシャザールの饗宴」の第3曲「夜想曲」では、首席フルートの小山裕畿が深々とした圧巻のソロを聴かせた。これは、彼の凱旋公演の趣さえ呈したほどである。

 アンコールの2曲目は「レンミンカイネンの帰郷」で、稀なほどのエネルギッシュな演奏だった。
 だが、この曲の演奏が始まったとたんに、シンバル奏者が慌ててステージに駆け込んで来たり、2番フルート奏者が大急ぎで袖からピッコロを持って走って来て小山に手渡したりと、何ともドタバタ騒ぎの大らかなオケであった。だが、フィンランドからのゲスト・オケとなると、聴衆は不思議に温かく赦してしまう(日本のオケがこんなことをやったら大変だろう)。最後は全員が客席に一礼するという「日本フィル・スタイル」で、客席は大いに沸いた。

 ━━ハンヌ・リントゥの指揮、これまで都響や新日本フィルと行なった演奏では、剛直で毅然とした音楽づくりが大変好いと思っていたのだが、このフィンランド放送響を振った演奏では、何か一種の作為的なものばかりが気になってしまい、あまり共感できぬまま終ってしまったのは・・・・何故だろう?

コメント

私は2日のトリフォニー公演を聴きました。曲目はタピオラ、7番、5番(1曲目と2曲目が入れ替わった)。結論から言えば大変素晴らしい感動的なコンサートで私は特に(悪い意味での)作為的なものは感じませんでした(リントゥ・・・どことなく怪しい、一癖ありそうな雰囲気を漂わせているので今後が楽しみではありますが)。曲順が変更されたことに「作曲順に聴きたかったなぁ・・・」と心の中でぼやいていましたが、そんな思いはタピオラの最初の2秒で完全に払拭されてしまった。客席がガラガラだったこともあり(ホントにビックリするくらい、1階の両サイドにほとんど人がいない!)一瞬で北国の清澄な空気にホール中が包まれたように思われた。基本的に弦主体の音作りで絶対に金管が出すぎない、7番での遠い山の頂きから聞こえてくるようなトロンボーン・・・など、終始完璧なバランスで響いていたのでした。奏者達の意気込みも(表面的にではなく内側から滲み出てくるような)凄かった。アンコールの1曲目はサントリー公演と一緒、2曲目は「悲しきワルツ」が演奏されました。ドタバタは曲目の勘違いということですね、間に合ってよかった(笑)。それとこの日、演奏と同等に素晴らしかったのは聴衆であります。他の演奏会場では当然のようにある飴の包みを開けるチリチリ音、その他雑音、咳すらもほとんど聞こえず奏者達に静寂を提供していたことです!言うまでもなくコンサート(舞台芸術全般)というものは奏者達と聴衆が共に作り上げてこそ真に完成するのです。客席はガラガラでしたが本当にシベリウスの音楽を愛する人達が集まったのだろう、奏者達も幸せそうだった。この日はまさに両者が一体となった奇跡的な一夜でした!

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