2017-06

2015・10・13(火)下野竜也指揮読売日本交響楽団

     サントリーホール  7時

 ベートーヴェンの「コリオラン」序曲、ヒンデミットの「白鳥を焼く男」、ジョン・アダムズの「ハルモニーレーレ」が演奏された。

 いかにも下野竜也(首席客演指揮者)らしい意欲的で、大胆なプログラムだが、演奏の面白さという面からいえば、「コリオラン」より「白鳥を焼く男」が鮮烈な出来で、さらにそれよりも「ハルモニーレーレ」が、いっそうスリリングで強烈だった。
 そう感じたのは、多分私だけではあるまい。3曲に対する客席のそれぞれの拍手の大きさ、ブラヴォーの多さなどが、それを証明していただろう。

 「白鳥を焼く男」では、ヴィオラ・ソロの鈴木康浩(読響)の演奏が見事の一語に尽きる。この渋い曲がこれだけ生き生きとして躍動的に感じられたのは、稀有のことだ。

 そして「ハルモニーレーレ」は、大編成のオーケストラによる音の坩堝である。ミニマル・ミュージックの要素の濃い構築で、この手法そのものは私も嫌いではないから、延々と続く音の繰り返しに、安んじて━━というか、諦めて、というか━━心身を委ねる。
 第1曲と第2曲には極度に刺激的な大音響も多いが、第3曲に至って、ハーモニーの多彩さ、美しさが全開する。この陶酔的な音は独特のものだ。

 読響(コンサートマスターは小森谷巧)は、特にこの曲で持ち前の馬力を発揮し、豪演を繰り広げた。
 そしてもちろん、最大の功績は下野竜也のものだろう。膨大なスコアを確実に把握しての自信に満ちた指揮で、作品をがっしりと構築して隙がない。ミニマルを機械的な音づくりに陥らせず、一種の情感的なものを内含して、緊迫感を全く失わせずに、強い推進力を以って演奏を進める。立派なものであった。

 かように、渋く馴染みのないものに思えるプログラムも、実際に聴いてみれば実に面白い。今日はこのプログラムのせいか、客足が今一つの場内だったが、最後の拍手の大きさとブラヴォ―の声の多さは、あのスクロヴァチェフスキのブルックナーの時にも劣らぬほどだった。

 こういう特殊な作品の場合、「聴いてみると面白いよ」という情報を、それも文章だけでなく、音や映像を使って、事前にアピールする方法はないものか? 定期の会場ロビーで、次回の定期の案内を投映するとか、あるいはオーケストラのサイトで「次の定期は」として、音や映像を紹介するとかいう具合に・・・・。
 たとえばジャパン・アーツのように、自社のHpで、公演によって動画や写真を公開し紹介しているところもある。これなどは━━劇的な、とまでは行かぬまでも━━ある程度の効果を上げているのではないだろうか?

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