2017-06

2015・10・10(土)早坂文雄没後60年 大友直人指揮東京交響楽団

      ミューザ川崎シンフォニーホール  3時

 早坂文雄の作品を集めた「現代日本音楽の夕べシリーズ第18回」。映画「羅生門」からの「真砂の証言の場面のボレロ」、交響的童話「ムクの木の話」、交響的組曲「ユーカラ」が演奏された。

 このうち「ムクの木の話」は、オルガン前に吊り下げられた巨大なスクリーンに、この音楽が付けられたオリジナルのアニメ映画の映像が映写され、それに合わせてナマの演奏が行われた。なかなか凝った企画であり、その試みは成功を収めていたといえるだろう。
 映画は1946年製作というだけあって、見るからに時代物という印象だが、敗戦直後の混乱期の日本においてこれだけのものが作られていたというのは驚きだ。

 名誉客演指揮者・大友直人の指揮する東京響(コンサートマスターは客員の荒井英治!)の演奏は、しっかりとまとまっており、極めて聴き易かった。
 ━━と、そこまではいいのだが、肝心の演奏の中味は? 

 綺麗にまとまっているだけでは、早坂文雄の音楽の真髄は伝わって来ないのではないか。「ボレロ」の演奏には、あの「羅生門」の映画での鬼気迫る雰囲気はある程度出ていたけれど、大作「ユーカラ」の演奏には、死を前にした早坂の音楽の凄みのようなものが、さっぱり感じられなかった。あたかも蒸留水の如く、淡白なものに留まっていたようである。
 冒頭のクラリネット・ソロは、暗黒となった場内に、奏者に真紅のスポットを当てて奏される━━という趣向もあったけれども、そういう形だけのものではない何かが欲しかった。貴重な演奏会であったことは疑うべくもないが。

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