2019-05

6・10(火)アレクサンドル・ラザレフ指揮読売日本交響楽団

  東京芸術劇場

 プログラム後半に演奏されたボロディンの「交響曲第2番」は、ラザレフと読売日響のこれまでの演奏の中でも、おそらく最高のものだったのではなかろうか。

 この曲は、ナマ演奏で聴いたことは2,3回あるが、かくもロシアの大地の力といったものを連想させる野生的なエネルギーを噴出した演奏には接したことがなかった。まさにこれこそが、あのラヴェルらフランスの若手芸術家集団「アパッシュ」を熱狂させた、骨の髄までロシア的な、ロシアの交響曲の代表的傑作とまで言われた作品の真の姿なのかもしれぬ。
 唸りを生じて渦巻く弦楽器群、荒々しく咆哮する金管楽器群、何度となく押し寄せる津波のようなクレッシェンドなど、凄まじい限りである。ラザレフの猛烈な指揮もさることながら、馬力においては国内オーケストラ随一と思われる読売日響にして初めて為しうる「野性の美」的な演奏であろう。山岸博の深々としたホルンの響きも印象的であった。

 「ピーターと狼」(語り:伊倉一恵)は実にスピーディな進行。各キャラクターの描写がこれほど生き生きしていた演奏も珍しかろう。さすがラザレフ、かつてボリショイ劇場音楽監督として振るった腕は、今なお健在である。その他、最初にドヴォルジャークの交響詩「真昼の魔女」。
 今日は久しぶりに菅原淳さん(先頃定年で退職?)が客演でティンパニをたたいていた。懐かしい。それに、あの人の演奏には、やっぱり温かい味がある。

コメント

6・9サントリー名曲にて

前回ロジェストヴェンスキー指揮読響のボロディン2番を聴き逃しているので、楽しみにしていた公演です。仕事で遅刻しつつもボロディンだけはしっかりと聴きました(1階15列)。ちょうど先日のこと、ハイヴィジョンで再放送されたラトル/ベルリンフィル@ジルヴェスター2007も聴いていましたので、ラトルとの比較が気にもなりました。

ラトルとラザレフという二人の指揮者の表現が、あんなにも対照的でありながら、どちらも説得力が強く、魅力的。ボロディンの音楽の多面性と奥の深さを実証した両指揮者でした。神経質なくらいに精細で深い分析の徹底した「先生」風のラトル。大地にどっしり根を下ろしたような大らかさと、流れるように躍動する「大きなロシア」のラザレフ。優劣も好悪も超えて、どちらも素晴らしいボロディンです。

オケはオケで、互いに見事なものでした。ベルリンはやはり凄いの一語に尽きますが、読響もさほど劣るとは思えない。聴き様によっては読響に分がある点も少なくないのです。ホルンではドールの抜群の安定感に対して、山岸のいつもながら独特のコクのある響き。Tpは堅実そのもののベルリンに対して、長谷川潤の華やかで大らかな響きはラザレフの表現によく沿ったものでした。ティンパニストは菅原淳氏が客演。読響の最良の響きは、菅原淳がセンター後方に陣取ったときに作られるという神話は、今もまだ生きているようです。ヴァイオリン群ではベルリンの堅固で抜群の機動力に対して、読響は都会的に洗練された艶やかな音色。パワフルさでも引けを取りません。内声と低弦はまったく互角と言いたいほど。

日本を代表するオーケストラが、指揮者が志向する表現にぴったりと沿う高い能力を持つことをも確認できたボロディン2番でした。

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