2017-10

2015・9・8(火)山田和樹指揮日本フィル&尾上右近
「歌舞伎×オーケストラ」

      サントリーホール  1時

 「日本フィル&サントリーホール とっておき アフタヌーン Vol.2 歌舞伎×オーケストラ」と長いタイトルが付されたコンサート。
 チャイコフスキーの「花のワルツ」と「ロメオとジュリエット」、ストラヴィンスキーの「春の祭典」が演奏される。コンサートマスターは扇谷泰朋。最後の曲には、尾上菊之丞振付による尾上右近の舞踊が加わって、これが今日の最大の売りもの。

 プロ野球では、2ケタ得点の大差で勝ったチームは、翌日の試合は大味になる・・・・と言われる。日本フィルも、3日前の定期があまりに突き詰めた緊張のある演奏だったので、その反動で今日はもしや「定期、お疲れ様でした・・・・」となるのではないかという気がしていたが、やはりアンサンブルは大味になり、管のソロにも、相当雑なところが聞かれた。

 山田&日本フィルにしても、いつもの演奏に似合わず、細かいニュアンスを欠いて、全体に一本調子の演奏に終始した印象は拭えない。特に「花のワルツ」での殺風景で単調な表情は、このコンビとは思えぬようなものであった。

 「春の祭典」は流石に大熱演で、そのパワーもエネルギー感も猛烈を極めたが、それでもひたすら力を恃んで一気呵成に押しまくっただけの演奏になっていたのは、このコンビだからこそ求められる最高水準の演奏という基準に照らせば、かなり物足りない。
 ただし、同じ大音響による怒号咆哮でも、山田和樹が日本フィルから引き出したそれは、ラザレフが指揮した時の野性的な響きとは全く異なる、極めて豊麗な、ふくらみのある音色に彩られていた。それが救いだった。

 さて、問題の舞踊。「春の祭典」の物語を歌舞伎の舞踊で表現し、それを音楽と合致あるいは対比させるという試みは、実に面白いアイディアだ。先ごろ東京文化会館が制作した泰西名曲と日本舞踊の合体(2012年12月7日)に勝るとも劣らぬ斬新な好企画だと思う。
 ただ、━━実際の出来はどうだったか? 押し寄せる大管弦楽に対する、たった1人の舞。激動と静厳。躍動と静歩。この対比は、予想以上に難しいものだと、いろいろ考えさせられた。ただ一緒にやったからといって、巧くイメージが合うものでもない。

 だが貴重な機会だったことは、いうまでもない。
 まだほかにも、いろいろな手法があるだろう。日本の芸術の粋たる歌舞伎と、ヨーロッパの音楽━━器楽、オペラ、バレエを含めて━━との出会いには、無限の可能性があるような気がする。

コメント

「三十代のうちに大曲の譜読みを」と焦っている感じが気になります。マーラーも2番3番と二週続いたせいか粗い演奏になっていました。ブラボーの嵐ではありましたが…。

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